レイアウト趣味から見る特撮映画「八岐之大蛇の逆襲」

 久しぶりにやります「レイアウト趣味から見る特撮映画」のはなし。
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 今回は「八岐之大蛇の逆襲」をば。
 本作は元々自主製作映画として作られた物ですが、後に特撮映画で名前を成す面々がスタッフとして参加しており特に特撮部分は今観ても非常に見応えのある一本となっています。

 その割には最近あまり話題になる事もなくなってしまい特に平成生まれのファンでは存在自体を知らない人も多いのではないでしょうか。
 
 ストーリーは「米子市郊外で発見された古代文字の記された石版、それはかつて地球侵略の先兵として造られたロボット兵器八岐大蛇を起動させるキーでもあった。石板をはめ込まれて起動した八岐大蛇は地球人の持つ闘争本能を利用するために石板をはめ込んだ女性科学者を取り込み米子市街で破壊活動を開始、それに立ち向かう自衛隊との一大攻防戦が繰り広げられる」
 ・・・と書くと物凄いスペクタクルを想像してしまいますが大蛇の内部で待機していた宇宙人が竹本泉の漫画にでも出てきそうなカエル型のゆるキャラだったり学者や自衛隊員の描写が素人漫才レベル(まあ、プロの役者ではないのですが)だったりとかなり脱力する所も多い作りだったりします。

 そんなわけでタイトルから想像されるのとは思いっきりギャップのある「80年代SFコメディに良くあるシチュエーション」を未消化のまま映像化したという趣の作品で90年代初めに初見した当時は観ていて物凄く気恥ずかしかった記憶があります。

 ですが今回このブログを書くに当たってDVDで久しぶりに本作を観返すことができましたが、今となっては全編を通して感じる妙な勢いと熱気は「特撮が好きだから作った」という一種の清々しさを感じました。
 似たような作品で「映画のカースタントのファンが「カーアクションがやりたい」という勢いだけで作ったVシネマを以前観た事があるのですががどこかそれと共通した物を感じます。

 作品としては破たんした部分も一部に感じるにせよ、いずれにしてもCG全盛の反面、お行儀のよすぎる小奇麗なだけの昨今の映画に決定的に欠けている何かを確実に持っている作品なのは確かです。
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 さてここから本題です(笑)

 実景に準拠して作られた米子市内のミニチュアは当時としてはかなり細密な物でオープンセットで自然光を味方につけた事もあって迫力と勢いはかなりのものです。
 どうかすると屋内のステージにこれよりかっちり作られたミニチュアを配置して作った怪獣映画よりも楽しめる画面になっている所が凄いと思います。

 個々のミニチュアについていえば恐らく素材の関係からか、東宝あたりのそれに比べてかなりよれよれした出来なのですが見た目の細密感の高さと自然光のリアルさで押し切られてしまいます。
 何より当時ちゃんとした映画会社の作品ですらここまで実景に準拠した地方都市のミニチュアは作られていませんし、米子駅の破壊シーンや国道に配置された戦車の砲撃シーンの様に遠近感を効果的に使った画づくりは後の平成ガメラシリーズまでお目に掛かれなかったものです。
 それらがトータルで醸し出す独特の泥臭さは「大都市でない、地方を舞台として」尚且つ「ええかっこしいのキャラクターが存在しない」本作のイメージには妙に合致しています。

 さて「レイアウト趣味」と書いている以上はここらで少しそれっぽい所も。
 本作では米子駅周辺やヘリからの俯瞰シーンの一部で市販のNゲージモデルを使ったロングショット用のミニチュアセットが使われています。
 特に駅構内の俯瞰では当時の懐かしのNゲージモデルが走行シーン込みで観られるという意外なおまけも(笑)

 よく見るとDD51と24系、キハ82系やKATO、TOMIXの貨車群などが視認できます。
 それとは別に怪獣に咥えられるために24分の1のペーパー製のDD51やオシ24、かなり細密感のある架線柱(?)も製作され、それなりに効果を上げています。
(この24分の1というのはおそらく市販の自動車のプラモを基準に決められたスケールではないかと思います。建造物のよれ具合に比べて一般車だけが無闇にかっちりし過ぎている為に画面の統一性にちぐはぐさを感じるのが本作の弱みですがそれとて上述の条件を勘案する必要はあります) 
 

 あるサイトではミニチュア部分も含めて随分と酷評されていますが、80年代中頃までの自主製作のSF映画でこれを超える物が絶無に等しい事を考慮に入れる必要はあると思います。
 10年ぶり位にDVDで久しぶりに本作を観返すことができましたが全編を通して感じる妙な勢いと熱気は「好きだから作った」という一種の清々しさを感じました。
 (似たような作品で「映画のカースタントのファンが「カーアクションがやりたい」という勢いだけで作ったVシネマがありますがどこかそれと共通した物を感じます)
 

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コメント

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八岐之大蛇の逆襲

ついに出てきましたね! 知る人ぞ知る快作(怪作?)

建物はほぼすべて紙製、宇宙船の中はスチロール(すぐに火がつく・・)、野外にミニチュアを並べるので雨は厳禁、曇りや夕方になると撮影不能。

男子学生が多数集まってるので過激派と間違われたこともあったとか。

東宝に監修をお願いしたとかで後半は中野監督も真っ青なほど爆発の嵐ww

今の目で見れば突っ込みどころ満載でしょうしホリゾントに汚れがあるのが丸見えとか稚拙な部分もありますが、「これ全部アマチュアが作ったんだぞー」。

メイキング映像のほうを見るとよくわかりますが、建物は密集しておらず配置はスカスカ。
それでも小さな看板や軒下の洗濯物や自転車まで配置されているのでものすごい臨場感があります。
このへんは鉄道模型レイアウトでも参考にできますね。

こう言っては何ですが、特撮シーンに関しては「下手なプロ制作の作品(失礼)」よりもすごいと思いますよ。

Re: 八岐之大蛇の逆襲

>柴乃 さん

 コメントありがとうございます。

 実はいつこれを取り上げようかとかねて思っていたのですが先日エアチェックのDVDで「愛国戦隊大日本」「快傑のうてんき」の一挙放送(こんなのを「京都チャンネル」でやるのですからスカパーは凄い)を観たのがきっかけでようやくその気になりました(笑)

 メイキングを見ると主に米子駅のセットで仰るような「スカスカ配置」を視認できますが、煙の絡むミニチュア特撮の場合、空気感を出すためにある程度の距離とスペースが必要なのでこれもリアリティ重視の一環と捉えても良いかと思います。
 実際私もこれを観てレイアウトの遠近感の演出を実験しました(笑)

 それにしても自主制作でこれだけ正面切ってスペクタクル特撮物を作ったというのは実に凄い事だと思います。あのヘロヘロな演出(失礼!)も大真面目なストーリーではミニチュアの粗が強調されてしまうのを回避するための手段だったのかもしれませんし。

 逆にプロを揃えてこれと同じ事をやると「巨神兵東京に現る」になるのではないかと。
 (こちらは大真面目な終末ファンタジーでしたが)
 こちらも機会があれば改めて取り上げたいと思っています。