幻の探偵雑誌「探偵クラブ傑作選」から

 今回は先日の秋葉行きの折に買った「幻の探偵雑誌」の一冊から。
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 光文社文庫の「探偵クラブ傑作選」

 大分前にこのシリーズについて触れた時に「探偵小説勃興期の熱気」について触れた事がありますがその熱気を端的に表したのがこの一冊だと思います。

 本冊で取り上げられている「探偵クラブ」と併録の「探偵趣味」の2誌はその成り立ちからして只者ではありません。
 なにしろこの2種は「探偵小説の全集の付録冊子」なのです。
 文学全集や美術全集なんかでは折り込み冊子が付属している事が多いのはその種の本を手に取った事のある人にはお分かりと思いますが、大概の場合は本誌に関連したエッセイや解説などで埋められている物が殆どです。
 が、この二誌はそれ単独でも成立する程の内容で圧倒されます。

 「探偵クラブ」は当代随一の探偵小説家10人の書き下ろし探偵小説10巻から成る全集の折り込みなのですが内容が参加した10人の作家による「連作探偵小説」を掲載しています。
 今では連作と言うよりも「リレー小説」と称した方がわかりやすいかもしれません。

 もうひとつの「探偵趣味」は江戸川乱歩の全集の折り込みです。
 こちらは驚いた事に最終巻に刊行される「地獄風景」(もちろん書き下ろし)のラスト直前までを連載するという荒業に驚かされます。
 しかもそれだけではなく「折り込み誌上で何とアマチュア作家のショートショートのミステリを募集」乱歩本人による批評とともに上位作をいくつか掲載するというこれまた折り込み誌らしからぬ豪華な構成でした。

 しかもその投稿小説は毎回コンスタントに50篇前後が投稿されていたというのですからちょっとした専門誌なみです。
 とはいえ投稿子たちはその殆どがアマチュアで後に作家デビューした人は少なかったようですし、事実私自身この本以外では名前を聞いた事すらない作者が大半と言って良い位です。
 質的にも江戸川乱歩が語るようにプロとしての水準に達したレベルの物は殆どな買ったようですし実際読んでみてもあまりパッとした出来の物は少ないです。

 ですが、荒削りなのに妙に勢いというか熱気を感じさせるものが殆どで読むのが辛い様な退屈なものはありませんでした。
 文才とか才能とかを超えた意気の様な物が行間から感じられ一気呵成に読んでしまいました。

 実は最近、現代のミステリ作家やライトノベル作家になるショートショート選集を読んだばかりなのですが、そのどれもが長所も短所も含めてこの投稿短編とは全く逆の印象でした。
 これほど短い作品なのに退屈さを感じるのは単に私が年を取っておっさん化してしまったからか(笑)と思っていたのですがこの文庫を読んでみるとどうもそれだけではないらしい気がします。

 これなどはジャンルの勃興期の持つ空気がそうさせているのかもしれません。



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