熱帯夜の怪奇本シリーズ2015・「いわて怪談奇談珍談」


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 熱帯夜の怪奇本シリーズから。
 3年前にこのネタを書き始めた時にいつかは取り上げる積りでいた一冊があります。今回はその一冊から。
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 私の故郷の地元紙が出していた「いわて怪談 奇談 珍談」(岩手日報社)

 本書は岩手日報の日曜版に連載されていた読者投稿になる怪談や少し変わったはなしを集めて一冊にまとめたものです。
 確か続編など3~4冊出ていたと思うのですが私の印象に残るのはやはり最初の一冊という事になります。

 幽霊やら生霊やらの話が比較的多いのですが、他にもUFO関連や大蛇、中には子供の頃よく聞かされた「サーカスの人さらい」に至るまでジャンルを問わずアトランダムに掲載されているのでそれ自体は読みでがあります。
 ですが読者の投稿になるそれらの語り口は皆一様に淡々としていて、いわゆる怪談的な衒奇性が希薄なところがまた特徴的でもあります。
 読者を怖がらせようというよりも「ふと思い出したことを何となく書き出した」という趣で、読むというよりも昔の世間話を聞かされているような不思議な感覚があります。
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 一例をあげると

 私が初めて幽霊と出会ったのは小学3年生の旧盆間近だった(中略)杉山に入ると霧か靄で肩に湿りを感じた。祖母が急に立ち止まり「また幽霊が出ている」と言って合掌した。
「どこに幽霊が出たの?」(中略)
 アセビのところに人の姿はあったが幽霊とは思っても見なかった。祖母には顔を向け「ばっぱさん、女の人だネ」「あれは女の人でなく、お侍さんなんだョ」というので確かめようと見直したが既に姿はなかった。
 (同書113P「幽霊との出会い」から引用)

 概ねこんな調子の話が多いのですが本書の持つ独特な雰囲気がお分かり頂けるでしょうか。
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 本書の中のある投稿の書き出し「昔のことは幽霊まで懐かしい」という一節。ここにこの本の真骨頂がある様に感じます。
 ですから怪談と言っても恐怖を煽るような内容よりもどこか懐かしさの伴う読後感の話の方が多いですし、

 この辺り岩手では「遠野物語」のDNAみたいなものが今でも受け継がれているような気もします。

 そのせいか本書は真夜中に灯りの下で読むよりも夕焼け空の下、草の生い茂る川の土手の上なんかで読むのが一番になっている様な感じがします。

 さて本書を取り上げたら避けて通れない一冊があるのですがそれについては次の機会に。



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