「殺人回路」

 怪奇大作戦のコミカライズネタ

 今回は久しぶりに桑田次郎板を取り上げます。
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 コミカライズのタイトルは「死を呼ぶ絵」ですがテレビの元ネタは「殺人回路」
 個人的にはコミカライズとしては影丸版の「光る通り魔」中城版の「氷の死刑台」と並び怪奇大作戦コミカライズの傑作のひとつと思います。

 東京の一等地に本社を構える神谷商事。その社長室で部屋に飾られていたダイアナの画からダイアナが実体化して抜けだしその弓で社長を射殺する。
 このシークエンスだけでも怪奇大作戦らしさは満点です。

 ですがテレビ版ではダイアナの矢は相手に射殺すだけなのに対して桑田版では更に「死体の上に屈んだダイアナがどろどろに溶けだし死体を白骨化させる」という更にショッキングな描写が加わります。
 実はダイアナの画は一見油絵のように見せかけていながら実は「微細な食人昆虫の集合体」で死体を溶かした後はまた元通りの画になって額の中に戻る仕掛けになっていました。
 この設定もテレビとは異なるものでありながらテレビ以上の説得力を持っています。

 テレビ版ではダイアナの画はCRTディスプレイの電子画像に過ぎずそれがなぜ人を射殺せるかについての説明が全くありませんでした。

 ダイアナが壁の中を自由に通り抜ける描写もテレビでは立体映像なので当然壁抜け(したように見せる)のは容易でしょうが桑田版の様に「溶けだしたダイアナが鍵穴から流れ込んで実体化する」ほどの説得力はありません。

 更に事件を巡る人間関係はテレビ版と今回のコミカライズ版では大きく異なった展開を見せます。

 テレビ本編ではコンピュータを盲信する息子と古くからのしがらみに拘る父という社長親子の相克が直接の動機であり殺人を実行するコンピュータ技師の岡は単に息子の手先という扱いにしかすぎません。
 桑田版では殺害されるのは父に代わって神谷商事の社長を務める二人の息子であり、残された神谷老人の家にかつて会長にいびり殺された先妻の亡霊の声が復讐を告げる展開となっています。

 ここでの岡は奇跡的に生き残っていた先妻の息子でありコンピュータ技師として会社に入り込んで機会を伺っていたという設定。

 クライマックスで会長宅を襲撃して未亡人と孫を手に掛けようとしたダイアナは食人昆虫の集合体ゆえに牧の手でガソリンを掛けられて焼殺されます。
 一方でコンピュータ室に乗り込んできた三沢と対峙した岡は吐き出すように過去の呪いを口走った挙句毒を呷って絶命します。
 「おふくろーっ!許してくれっ!!復讐は成功しなかったんだあ!!」これが桑田版での岡の最後の言葉でした。

 テレビ版の怪奇大作戦でもここまで壮絶な死に方をした犯人はほぼ皆無に等しいでしょう。

 ですが本来は被害者である神谷老人は既に自分の過去を悔い、事情を正直にSRIに告げた上で残された息子の未亡人と孫の保護を依頼するところに一種の人間らしさを感じさせます。
 ラストも再びSRIを訪ねた老人が殺された息子の事には敢えて触れずに犯人の技師を丁重に弔いたいと告げて去ってゆくところに救いを残しています。

 これは推察ですが、テレビの殺人回路も当初は殺人事件に絡む人間関係が犯罪の大きな要因として描かれており、その中で前社長にいびり殺された先妻などのモチーフがあったようなのでこの初期脚本を桑田氏が予め目を通した上で換骨奪胎した漫画が今回のコミカライズだったのではないでしょうか。

 余談ですが実は本作のテレビを私が最初に観たのはこの桑田版を読んだ後でした。
 当時はファンコレの怪奇大作戦も出ておらず、当時の記憶もおぼろげ(というか「散歩する首」のインパクトしか記憶がなかった)だったので桑田版と同じ展開がテレビでも再現されていると勝手に思っておりました。
 それだけにテレビ版の展開はどうにもがっかりした記憶があります。

 いずれにしても桑田版の怪奇大作戦の中ではこの殺人回路は私個人としては最高傑作と今でも思っています。

 以下は余談です。
 桑田版の怪奇大作戦で特徴的なのは的矢所長の影の薄さでした。
 初期の頃こそ出番はそこそこあるのですが基本的に聞き役に徹している感じであまり目立たず、それどころか後半のオリジナル編では全く姿を見せなくなっています。

 

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