「かまいたち」

 コミカライズに見る「怪奇大作戦」
 今回はテレビ本編でもかなり暗い気分になる「かまいたち」から。
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 テレビ本編では真空切断機によって「女性の五体が瞬時にバラバラにされる」というショッキングな画面。
 更に「飛び散った死体の一部が見るからに不潔そうなどぶ川に落ちる」と言うオープニングに繋がり、今見ても(当時の円谷作品らしからぬ)不快さを感じるものです。

 中城けんたろう氏の手になるコミカライズではさすがにそんな直接的な描写は避けられ被害者は背中を真空の刃で斬りつけられるという比較的穏当な物になっています。
 (但し中盤の実験ではマネキン人形はバラバラになりますが)

 深夜の下町で発生する連続女性バラバラ殺人事件。
 最初は他の現場で殺害して死体をばらまいていると思われていたのが二件目で警官の眼の前で女性が瞬間的にバラバラになった事からSRIの追及が本格化するストーリー。
 その中で牧はふとしたきっかけから事件現場の野次馬に混じっているひとりの工員に不審の目を向けます。
 これがテレビ版のストーリーの大枠ですが、コミカライズのストーリー展開は基本的にテレビに準拠しています。

 テレビではラスト、捕えられた犯人の工員は刑事やSRIの尋問に何も答えずただじっと虚空を見つめるだけ。
  「殺人を犯した罪悪感は元より動機らしい動機も全く見えてこない不条理さ」は後の現代の犯罪事情を先取りすると同時にシリーズきっての衝撃的な幕切れとして印象に残ります。
 (『市井の工員がどうやって金も手間も掛かりそうな真空切断機を作ったのか』と言う根本的な問題点があるものの)

 「これは単なる野次馬の目じゃない。笑っている目だ!何かを楽しんでいる目だ!!」
 単なる直感から犯人を見抜き、証拠のでない段階から監視を続ける牧の描写もシリーズ中の白眉といえるものです。

 ですが当時の少年誌のコミカライズでこれをこの通り漫画化するのは非常に困難でもあります。

 中城版でも犯人特定のきっかけまでは同じですが犯人像を変える事で衝撃の緩和とわかりやすさを狙ったものになっています。
 ここでの犯人は「かつて大学で電子工学の研究で将来を嘱望されながら共同研究者の女性科学者に成果を持ち逃げされ、その恨みから同じ年代の女性を憎み狙う様になった」事になっています。
 テレビ版のそれに比べると衝撃性は薄いですが真空切断機をめぐる上述の疑問点にも答えを用意して分かりやすい犯人像になっています。

 ただ、こちらの犯人が「実際に本物のいたちを飼っていた(しかもイタチの名前はプチw)」と言う所は余計だった気もしますが。

 この為後半のSRIのさおりを囮に使うストーリー展開はテレビと殆ど同じでありながら、活劇性の強い描写で最後まで引っ張ることには成功しています。

 余談ですが個人的にこの回で印象的なのは「野村の活躍」

 実は以前紹介した中城版の怪奇大作戦のコミカライズ2本では野村は殆ど登場しません。
 影丸版や桑田版の野村がコメディリリーフ的な部分を補うと同時に錯綜しがちな手口の解説で読者の側に立つという大活躍をしているとのは対照的です。
 実はこの回でも野村がやった事と言ったら「ラストで犯人を後ろから殴り倒すだけ」しかもその直前まで「居眠りしていて殆ど物語に絡まない」
 驚くほどの存在感の薄さを見せます(笑)

 中城版は次回が最終回になりますがここで初めて野村は本格的に活躍する事になります(笑)
 どんな活躍かは…次回の楽しみと言う事で。

 追記(2016.2.25)
 先日久しぶりにキャプテンウルトラのビデオを見ていたら「宇宙船の助手」の役で本編の犯人役の加藤修氏が登場していました。
 「怪奇~」とは全く異なる世界観なだけに怪奇の時には全く言葉を発しなかった犯人役とは正反対の割合明るそうなキャラで台詞も結構多かったりします。



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怪奇大作戦

 ファンコレを始め様々な書籍またはブログでも語られていますが試行錯誤の連続と人間が送り出す怪奇つまり犯罪の小道具的なアイテムとして科学を応用しSRIが科学特捜隊的に謎を解く。
円谷サイドとしては何が何でも怪獣SFとは違う作品を意図していただけに今まではタブー?とされていた人間が消される暗殺されるシーンが大々的に造られ例えばQではゴーガそしてセブンではU警備隊西へでもスパイや科学者が狙撃されるシーンはありますが物語の展開を進めるための事件として入れているだけで特に怪奇は2クール辺りからショッキングな描写、ストーリーが見受けられます。
前にも書きましたが根底となっているはガス人間第一号、電送人間、液体人間をベースにしており人間ドラマとしてはガス人間的なカラーを持つ回が多しです。
全体的に怪奇大作戦は登場した時期が早かったと言った所が率直な感想ですが改めて観ているとSRIのアクションは後の太陽に吠えろに繋がる描写もあり怪奇=円谷、太陽=東宝と何か因果めいた物も感じます。

Re: 怪奇大作戦

>  星川航空整備部さん

 仰る通り怪奇大作戦の場合「殺人の手口そのものがSF」でなければならない宿命から後になるほどショッキングな描写がエスカレートしやすい所もあったと思います。
(特撮を全く使っていない某封印回ですら画面のショッキングさはそれまでのどれよりも強かったですね)

 怪奇大作戦のアクション性が太陽にほえろ!に繋がるというのは「そう言われてみれば…」と言う感じで目から鱗でした。

 個人的には怪奇大作戦や直後の「アンバランス」との直接の繋がりはありませんが後のアクション物や特撮ヒーロー物とを繋ぐリンクの様な番組として昭和45年の「江戸川乱歩シリーズ・明智小五郎」(東京12チャンネル・東映)があったと思っています。
 これについては「怪奇~」が一段落したら書いてみたいと思っています。