「宇宙指令M774」

 久しぶりのウルトラQネタ。
 今回は「宇宙指令M774」を。
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 この回は脚本家の上原正三氏のデビュー作として知られていますが、舞台を縦横無尽に変えながら畳み掛ける様にストーリーが展開する様はウルトラQの中でもかなり娯楽性の高い一篇と言えます。

 ウルトラQの中でも同じ宇宙からの侵略を扱ったケムール人の場合、その理由や宇宙人自体の出自にかなりの描写が割かれていますし、ガラモンやナメゴンの場合、宇宙人の行動原理が曖昧ながらも示されている事で独特の恐怖感を煽る構成になっています。
 ところが本編の場合「キール星人」と宇宙人の固有名詞自体は明確なのですがその行動原理と言うと「円盤から怪獣ボスタングを送り込むだけ」しかも「そいつが倒されるとそこで侵略も終了らしい」という極めて単純なものです。

 その怪獣ボスタングの戦果も「実質タンカー1隻」しかも「戦闘機からのロケット弾であっさりやられてしまう」というひねりの無さ。

 後のウルトラシリーズに出てくる宇宙人に比べて妙に薄っぺら感の漂うインベーダーなのです。
 そもそもキール星人が侵略者であるというのも「ルパーツ星人の口を通してだけ」しか伝えられておらず、タンカーや巡視船を襲ったのも「侵略以外の意図がたまたまそういう風に見えた」可能性すらあります。

 そう考えると「宇宙の正義を守るために派遣されてきた」と言うルパーツ星人の存在が急に胡散臭く見えてきます。
 ボスタングが倒されたというだけでそのまま地球に永住宣言、しかも過去にそうやって帰化した宇宙人が多数いる事まで示唆させて唐突にストーリーが終了。
 冷静に考えたらかなり不思議な印象がある一篇です。

 ですが本編でそうした点を感じさせないのは上述のように30分間でひたすらサスペンスが積み重なる(当時としては)ジェットコースター的な展開、後半の巡視船とボスタングとの駆け引きのスリルの印象が非常に強いからではないかと思います。

 宇宙人を端的に「敵と味方に二元化」する事で娯楽性を高め詰め込み気味のシチュエーションを整理しやすくする意図があったとみるのがこの場合妥当かもしれません。

 実際本作のシチュエーションはウルトラマン以降の宇宙人ヒーローの定番(他社作品ながら特にその影響が濃厚なのがスペクトルマンだと思います)設定となりましたし、ルパーツ星人が巡視船上で巨大化変身でもやった日にはもろにウルトラマンそのものの話になるでしょう(笑)
 その意味ではこのはなしは企画で終わった「大猿ゴローと宇宙怪獣の対決」と並んでウルトラヒーローのひな形のひとつとなった一篇と言えると思います。

 (単純に本編のストーリーだけなぞれば同様の帰化宇宙人が多数定着している設定の「MIBやデカレンジャーの前夜祭」になる気もしますし)


 ミニチュア、というよりセットそのものの話をすると今回で一番印象的なのが「とにかく雄大な海」に尽きます。
 波の重なる具合から感じられる奥行などから想像するならこの回は東宝大プールで撮影されたのではないかと思います(確認はしていませんが)

 クライマックス付近で客船に向かうボスタングの姿は芥子粒の様に小さく、当時16型でも大画面だった白黒テレビの画質ではどこにボスタングが居るのかわからなかったのではないでしょうか(笑)

 巡視船からの砲撃や戦闘機からのロケット弾攻撃の弾着等はテレビ離れした本格的なもの(ボスタングと絡んでいる画面なので他の作品からのデュープではない)でスケール感は満点です。


 余談ですがこのボスタング、実はボスタングとして作られた物ではなく本来は「OIL SOS」という回で使われる予定だった「クラプトン」(エリックに非ずw)の改造怪獣でした。
 OIL SOSは上述の通り脚本も完成し怪獣のモデルまで作られていながらロケ先の石油会社の拒否に遭って製作中止になった悲劇の作品で、できるなら平成版でリメイクしてほしかったうちのひとつです。


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