「八甲田山」と「アムンセン」

そろそろ夜が寒くなってきました。
 家には暖房があまりない上に効きも良くないのでこれからの時期は早々と布団にくるまるのが常になっています。

 そんな折に良く読むのがよりにも寄って「寒い所を探検する話」なのですから何を考えているんだか。
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 特によく読むのがこのブログでも良く取り上げている新田次郎の「八甲田山死の彷徨」
 (そういえば今から114年前の昨日は青森第5連隊が八甲田山への雪中行軍に出発した日でした)

 そしてもう一冊が本田勝一の「アムンセンとスコット」です。

 どちらも史実を基にして書かれているものですが片や厳冬期の八甲田山踏破、片や初の南極点到達。
 しかもどちらもが「ふたつの異なる編成のチームがほぼ同時期に同じ目標のもとに挑み、片方が成功する一方でもう片方は全滅かそれに近い惨状となる」点で共通しています。

 両方を読んでいて驚かされるのはこのふたつの事例、細かな点に置いても共通点が実に多いので驚きは更に倍加します。

 八甲田の福島大尉、南極のアムンセン、それぞれ目標は違えどかなり以前から周到な準備と研究を重ね、それでもなお立ち向かうべき目標の恐ろしさを前に非情な指揮官に徹する部分。

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 そのどちらについても読んでいて面白いのが探検そのものよりもそこに至る準備のプロセスの部分であり何度読み返しても飽きる事がありません。
(八甲田山の方は原作者による史実の脚色が結構あるのですが、準備の周到さと言う点ではほぼ史実通りになっているようです)

 これに対比される神成大尉(小説中では神田大尉)スコット隊長の両名は何れも直前になって急きょ抜擢された指揮官で、動機づけの点や準備の面で不十分なまま半ば強行的に目標に挑み、その見通しの甘さから窮地に陥ってしまう点でも共通しています。
 かつてゴビ砂漠で恐竜の卵の化石を発見したアメリカのロイ・アンドリュースは「学術探検に必要なのは周到な準備であり最も不必要なのは冒険である」と言う言葉を残しているそうですが、このふたつの対比においてはまさに正鵠を得た例えに思えます。
 
  
 実は驚くべき事はもうひとつ、このふたつの事件はわずか10年しか違わない歴史的にはほぼ同時期と言って良いほどのタイミングで起こっている点です。
 (八甲田の方が先ですが「アムンセン~」書中にも登場する日本の南極探検隊の白瀬中尉の頭のどこかにも八甲田の教訓が念頭にあったのではないでしょうか)

 実はこの2冊を読み比べるまでここまで二つの事例が似ているとは思いもしませんでした。

 何れにしろこの対比を観ながら読み進めて行くのは非常に興味深く、且つ考えさせられる物があります。

 冬の夜にはこの他加藤文太郎の「単独行」とそのノベライズの新田次郎「孤高の人」とか高木勉の「八甲田山から還って来た男」なども併読しますが、どれもこれも読んでいて体の芯から冷える様な物ばかりです。
 

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