「カネゴンの繭」

 昨年初め以来自分でも驚く位に続いてきましたウルトラQネタ。
 いよいよ今回が最終となります。

 星川航空整備部さん、結局全話制覇になってしまいました。これもあなたのおかげですw
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 さて今回はこれまでこのシリーズを書く時「最後に書くのはこの話になるだろう」と自分でも予感していた「カネゴンの繭」です。

 と言うのもこの話ほど感想や考察がしにくい物はないだろうと思っていたからです。

 それは何故か。

 ウルトラや特撮に興味のない人にウルトラQで連想する話を挙げてもらうと必ずと言っていいほどカネゴンが出てきます。
 人によってはウルトラは知らなくてもカネゴンなら知っている向きはかなり多いですし一般のドラマ、例えば20年前に大ヒットした「家なき子」の最終話で安達祐美が「カネゴン」と絶叫するシーンがあるくらいです。

 ところがそれほどまでに一般への知名度が高いにも拘らずこの話、他のウルトラQとの共通項が非常に希薄なのです。

 登場する怪獣は等身大でミニチュアを駆使した破壊シーンもなし。
 怪獣の出自にも科学的な裏付けもなく、ある意味「ただなんとなく」に近いものですし。
 なによりこの話にはレギュラーである筈の万城目も一平も百合子も登場しないのです(「育てよ!カメ」にすらかなり強引に登場していたのに)

 その意味では本作はウルトラQの中ではかなり番外編に近い位置づけと言えます。
 ところがそれでいて本作ほど「ウルトラQらしく感じられるはなし」もないのです。ここが私にとって本作を語りにくくしている一因と思います。

 お金にうるさい加根田金夫少年がバザーで手に入れた「お金の音がする不思議な繭」に食われてしまい朝になったら「お金を食わなければ死ぬ怪獣」カネゴンに変身していた。
 その後いろいろあって、悪友たちと元に戻る方法を探索しやっとわかった方法とは「ヒゲおやじを逆立ちさせる」事だった!
 
 ストーリーをかいつまむだけで頭が痛くなってきました(笑)

 ですが、その過程で描かれる子供たちのリアリティのある、それでいて生き生きした描写はウルトラQ全体を通してもずば抜けています。
 カネゴンを飢え死にさせない為に最初は小遣いを前借してまでしてお金を食わせる(それでいて金夫がかわいそうと言うより「単に面白そうだから」やっていると言う雰囲気が濃厚w)
 が、お金が無くなった所でカネゴンをどうするかと言う所で本人そっちのけで「学者に売る」とか「サーカスに売り飛ばす」なんて案まで飛び出したりします。
 この能天気さと残酷さの同居した描写はかの「悪魔っ子」よりリアルで怖いかもしれません(笑)

 煤けた社でカネゴンを元に戻す方法を祈梼する見るからに怪しげな巫女や、いい歳してガキ大将にしか見えないヒゲおやじ(演じるは渡辺文雄!後に「首都消失」で貫録ある大阪府知事を演じた雰囲気は微塵もありません)金夫を引き取りに来ながら地面にこぼれたお金をこっそりちょろまかそうとする金夫の両親など大人たちの演技も多分にカリカチュライズされていながらも、これまたウルトラQらしからぬ生き生きしたものです。

 (他の話では怪獣や超常現象との対決を理知的に進める関係上、大人たちの演技が抑え気味になっている事が多いのですが)

 そして何より主役であるカネゴンの造形の見事さ!
 これまで出てきたどの怪獣にも似ていない、コンセプトとしては怪獣よりも妖怪に近いのにどこから見ても怪獣以外の何物でもないデザインは今見ても秀逸です。

 これらの要素が渾然一体となってこの作品の印象を強烈な物にしていると思います。

 ですが個人的に本作で好きなカットは「ヒゲおやじに戦いを挑もうと決意する子供たちの後ろで作戦に聞き耳を立てているカネゴン」「いよいよ出撃となって子供たちが一斉に駆け出していく後から間の抜けた掛け声をあげながらのたのたついて行くカネゴン」の一連の描写だったりします。
 これらの一連は怪獣が常に画面に居るのに違和感が全くなく、今この自分のいる世界にカネゴンが現れても不思議ではない感じにすらさせられるのです。
 子供たちからすれば「怪獣が恐怖の対象ではなくあくまで自分たちのいる世界の空気の一部として認識されている世界観」をこれほど鮮やかに描いたカットは他にはなかった気がします。

 これはスタッフにとっても大きな収穫だった様でこの「空気感」の部分をシリーズ化して再生したのがQの直後に放映された「快獣ブースカ」だったと思います。
 また、本作の持つ独特の不条理感は作者も製作会社も違いますが後のフジ、東映の「不思議コメディー」の一連の作品に、あるいはNHKの「さわやか3組」辺りにも引き継がれている気がします。
 (そういえば今挙げた作品はどれもこれも「ゲストにカネゴンが出てきてもおかしくない世界観」ですね)

 してみると本作はこれらの「日本特有のカラーを持ったマジカルコメディ」と言うジャンルの先駆け、元祖ともいえる一篇かもしれず、その意味でもウルトラQの中で別格的存在として認識されていると思えます。

 ここまで書いて思いましたが量の割に全くとりとめのない話になってしまいました。
 やはりカネゴンを語るのは難しいです。
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 なので余談
 カネゴンは後に同じ円谷の「レッドマン」に再登場します。
 ところがデッドン並みにぬいぐるみが劣化していた上に適当すぎるリペイントがされていた(あるいはアトラク用の転用?)為に「悲惨」としか言いようのないルックスになっていた上に役柄が「他の怪獣と一緒にレッドマンに惨殺される」とは(涙)


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コメント

非公開コメント

それでは

 呼ばれて飛び出て・・・では無く~どうも(笑)
やはり私が起爆剤として稼働しましたか!
カネゴン・・・確かに等身大の怪獣で大掛かりな特撮セットも無く単に着ぐるみが?子供たちと遊んでドタバタ騒ぎ!
ただ円谷が当初イメージしていた、もしも宇宙人や怪獣が一般家庭に入って来たら・・・と言うコンセプトが強く推進された
回で、ある意味では当時水面下で進行していたウルトラマンの滞在方法や溶け込み方と言ったジャンルを確立するための
パイロットフイルム的な要素も兼ねていたのかもしれません。
特にカネゴンが子供たちと言う所は初代マン、セブン、帰マン以降も引き継がれて行った要素です。
まあカネゴンが愛される?特徴として億万長者になりたい近道的なアイテムとして語られている怪獣なのかと。
例えばゴモラ=最強怪獣、ゼットン=ウルトラマンを凌ぐ奴、ゴジラ=世界の怪獣王と特撮物の怪獣やエイリアンには何かしらの
肩書を持っておりカネゴンは=金がある!だったのでしょう。
ただ21世紀の私達が口にする怪獣は50年前に生み出された物ばかりで平成になってから誕生した怪獣で何らかの話題で〇〇だと
例えられる新怪獣の名が出ないのは何だか寂しい気がします。
それだけ50年前に誕生した特撮怪獣達は時代を超えてインパクトがあり先見の明があったんですね(笑)
で光山市交通局さん!
次回はブースカに出て来る小道具について語り合いましようか!
奥が深いんですよネ(笑)

No title

>星川航空整備部さん

 ありがとうございます。

 Qの放映前までは「怪獣=ゴジラ」のイメージが見る側だけでなく作る側にも染みついている風があったと思いますが、本家円谷のスタッフは「そこに安住していたら何れ行き詰る」と言う思いがあったのではないでしょうか。カネゴンをはじめとするQのモンスターは殆どが意識的にゴジラのラインを外したものが多かったですがそれだけに「アイデア=肩書に直結したデザインやコンセプトの怪獣たち」として記憶に残るものが多かったと思います。

>平成になってから誕生した怪獣で何らかの話題で〇〇だと 例えられる新怪獣の名が出ないのは何だか寂しい気が~

 現在、子供の中でそうした役割を担っているのはポケモンや妖怪ウォッチのクリーチャーでしょうね。対象が実写からアニメ・CGへ移行しているとはいえ「身近な○○が怪物化したら」というifの部分はまだ健在ではないかと思います。

 ブースカは以前放映のCSで録ってはいるのですが、視聴については未だに全話制覇していないので(汗)ある程度まとまったら書こうと考えています。
 それまではしばしお待ちください。