思いでの昭和ヒーローから「超人バロム1」

 「私流」の「昭和ヒーロー列伝」
 今回は「超人バロム1」(昭和47年・東映・よみうりテレビ)から
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 本家の「昭和ヒーロー列伝」でこれが取り上げられなかったのは不思議な気がします。

 本作を観た事がない人でも御大水木一郎氏の「マ~ッハロッドでブロロロロ、ブロロロロ、ブロロロロオ~~~!!!」のフレーズ位は思い出す人も多いかと思います。
 前年から大ヒットしていた「仮面ライダー」を横目で見ながら日本テレビ系のよみうりテレビが1年遅れで送り出した変身ヒーロー物が本作でした。
 (余談ですが仮面ライダーと言い、機動戦士ガンダムと言い在阪、中京系の民放キー局の作品は冒険的な企画で大ヒットを飛ばす確率が高いですね)

 太古の昔から全宇宙規模で繰り広げられてきた正義と悪の戦いの中で魔神ドルゲに対抗する正義のコプーがたまたま出会った二人の少年に力を与え正義のエージェントとして戦わせる。
 二人の少年、猛と健太郎は正義と友情の力が頂点に達するとバロムクロスで合体、超人バロム1となってドルゲ魔人と戦うのであった!

 ざっくりストーリーのアウトラインを紹介するとこんな具合ですが、先行しているヒット作の仮面ライダーが「悪の組織に改造された青年がその哀しみを胸に戦う」と言うややアダルトチック、悪く言えば屈折した設定だったのに対して直球なわかりやすい設定なのを感じます。
 とはいえわかりやすい絵面に関しては仮面ライダーとの差別化の意図が強く感じられます。

 「向こうが変身ならこっちは合体だ」
 「向こうがバイクならこっちは自動車だ」
 「向こうの決め技がキックならこっちはパンチだ」

 ・・・ほら、わかりやすい。

 ですがそこまで差別化を意識しても当時の子供たちの印象の大半はやっぱり「仮面ライダーみたいなの」からあまり出ていなかった気もします。
 まるで「オデッセイに似せまい似せまいと細部をいじり倒したのにどこから見てもオデッセイの二番煎じにしか見えなかったトヨタの初代イプサム」みたいな存在がこのバロム1だった気がしてなりません。

 ただ(またまたローカルな話題で済みませんが)民放二局地域で仮面ライダーが夕方放映だったあの頃の私の故郷では「日曜夜のゴールデンタイムで観られる変身物」としての本作のステイタスはかなり高かったと思います。
 (昭和47年当時NET系に対してNTV系は倍近いネット局数だったので大概の田舎では普通にゴールデンタイムでバロム1が観られたと思います)

 変身中にふたりが仲違いすると勝手に変身が解除されるとか、魔人に取りつかれていた悪人が魔人の死と共に悪の心を使いきってしまい善人になってしまうとか、ひねりを効かせつつもヒーロー物らしい展開も盛り込まれてはいます。
 
 ですが、当時を思い返すとドルゲ魔人の異様なほどのグロテスクさとそれに反して妙に間抜けな描写が妙に印象に残っていたりします。
 ある話で「登場早々ガードマン(か誰か)を殺害して子供に迫る魔人タコゲルゲが偶然鳴ったベルを聴いて「うわあ!俺はベルの音に弱いんだあ!!」と「登場そうそういきなり自分から弱点を公開してしまう」ところとか、
 別な話で怪人モグラルゲから逃げ出した猛が「モグラルゲそこのけの速さで素手でトンネルを掘って逃走」「反対側からほぼ同じ速度で掘り進んでくるモグラルゲと鉢合わせする」とか(笑)

 今回ビデオで入手していたのは「魔人ヤゴゲルゲが子守歌で呪う」「魔人サソリルゲが地上を征服する!!」「魔人ウデゲルゲが神社で呪う」の3話ですがこの頃は時期的にドルゲ魔人のコンセプトが「人体の一部分を拡大強調した」物に変わりデザイン上のおっかなさが倍加していたのが目を引きます。
 よくよく思い出してみると「よくこんなのを日曜夜のご飯時に観ていたものだ」と思います。

 が、この前後の時期に「ドルゲ」と言う名称が実在のドイツ人のそれだった事からクレームがついたり、魔人のバージョンアップでおっかながる幼児が続出したことなどのケチがついてしまい、予想外の短命で番組が終了してしまうのでした。
 実は本作は低視聴率で打ち切りになった初代「ルパン三世」の後番組でもあったのですが、この後「侍ジャイアンツ」を経て放映された「宇宙戦艦ヤマト」も短命に終わってしまいNTV系の日曜7時半は「マンガの鬼門」みたいな枠に終始してしまうのでした。

 余談ですが旧ルパンファミリーの中で次元大介の小林清志氏だけは猛の父親の刑事の役でバロム1でも引き続き出演。また健太郎の姉の役の北原和美氏は翌年同じNTV系の「流星人間ゾーン」で変身ヒロインを演じる事になります。
 健太郎役の高野浩之氏は後に「なぞの転校生」の主演、コプー役の寺島幹夫氏は直後にガッチャマンのベルクカッツェの声で鮮烈な印象を残しました。
 また、ドルゲの役の飯塚昭三氏はこれをきっかけに特撮物の悪の首領役の第一人者として活躍する事になります。

 してみるとこのバロム1、後の特撮物やアニメにキャスティング面で色々と影響を与えているかもしれません。


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コメント

非公開コメント

No title

子供が主役で合体変身は斬新なのに、大人の書き方がどうも鼻に付いた番組でした。ドルゲのデザインは良かっただけに、子供が正義で大人は物分かりの悪い頭の固い人物が多いのも叩かれたと思いますね。ジャイアントロボや17は立派な大人が出てくる分。あっちはテロリスト相手で、こっちは化け物なのでしょうがないとはいえ。実際支援してくれる相手もいなければ、理解者もいないし。神様一人なのはあんまりですよ。

No title

>光になれさん

 バロム1の場合仮面ライダーの持つ世界観や敵の組織性などの魅力についての考察が十分飲み込み切れていなかった所が弱点の様な気がします。
 端的に言えばスポンサーや局側の大人の考える「お子様向けヒーロー物」のイメージがそのまま映像化された事が大人の描写の中途半端さにつながったのではないでしょうか。
 ただ、日テレ系のヒーロー物にはそうしたイメージを逆手に取った作品で佳作や秀作が多いのも確かですから(個人的には「小さなスーパーマンガンバロン」「星雲仮面マシンマン」などがそれに該当すると思います)バロム1自体そうした路線への過渡的存在と捉える事も可能ではないかと思います。

 そう言えば上述の二作はバロム1同様「キャスティングが異様なほどマニアック」という共通点がありますね(笑)