昭和ヒーロー列伝から・「セーラーファイト!」の思い出

 今回は久しぶりに「昭和ヒーロー列伝」のはなしから。 

CTV放映のシリーズとしての昭和ヒーロー列伝は「宇宙からのメッセージ・銀河大戦」で終わりましたが今回はそのシリーズ自体の話です。

 このシリーズの中で忘れてはならないのは番組中でオリジナルのヒーロー物のミニシリーズが製作された事です。

 「セーラーファイト!」という5分物の作品で番組スタッフのほか名古屋地域のアマチュアスタッフも参加して製作された物の様です。
 これまでに紹介してきた昭和のヒーロー物の最終話が終わった直後には大概これが入っていました。
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 怪獣も宇宙人の侵略も絶えて久しい地球。お荷物的な存在となった地球防衛軍はとある下町の倉庫を間借りして隊員も3名に縮小されてしまっていた。そこへ防衛軍の名誉挽回を図ろうとする参謀が持ち込んだ試作兵器。
 それは海軍仕様の防衛ロボットと称する「セーラーファイター」だった!

 当初のストーリーのアウトラインはこういう具合です。
 初期話数では未消化で空回りした所も目立っていましたが、「追加パーツで弱点が補強された際の設定ミスでセーラーファイターが自身の記憶を失いさまよう話が1年近く続いたり」「セーラーファイターの強化改造で予算を使い過ぎた参謀が自ら悪の組織を立ち上げセーラーファイターに手柄を上げさせようとする話」など回を追うごとにマニアック度やシチュエーションが練りあげられて行き、最後の方はヒーロー物らしい盛り上がりのあるラストになりました。

 尤も、最近の作品を見慣れた目からすれば作品自体の粗も目立つのはやむを得ません。
 ですが、それでも私個人はこの作品は昭和30年代の月光仮面、40年代のウルトラマン・仮面ライダー、50年代の戦隊シリーズ・宇宙刑事とならぶ平成ひとケタ年代を代表し得るヒーロー物と思っています。

 その理由はこれまでのヒーロー物にないコンセプトにあります。

 すなわち、従来のヒーロー物がスポンサーやテレビ局などの外的なニーズによって誘因、製作されてきたのに対して本作はテレビヒーロー物として初めて「ヒーロー物が好きなファンがファンのために作ったヒーロー物」であるという点です。
 このシリーズでは懐かしのヒーロー物から3話分をセレクトしてノーカット放送していましたが、その他にも視聴者の投書コーナーやら新作映画の特報、終期には番組に携わったスタッフへのインタビューなど独自のコーナーをいくつかやっていました。

 ですから改めてオリジナルのヒーロー物など追加する必要は本来ならそれほどなかった筈です。
 ですがそれをやってのけたのはひとえにヒーロー物に対する情熱があったからではないでしょうか。

 だからこそ回を追うごとに面白さが加速し、最終的には24話もの本数をこなすに至ったのではないかと。
 
 その後、ビデオソフト化もされそこでのオリジナルストーリーやヒーロー列伝から独立した続編も2本作られ、それらを収録したDVDも発売されています。

 ヒーロー物のパロディみたいな作品は当時バラエティ番組では全盛でしたが、純粋にヒーロー好きによるオリジナルと言うのはそれ以前に殆ど例がありません。
 しかも前述の有象無象のパロディがどこかヒーロー物を小馬鹿にしたような展開が多かったのも確かで古くからのファンの拒絶反応も又強かった気がします。
 それに対して有名なタレントも使えず、製作予算も殆ど無い状態の本作でしたが、スタッフの熱意、自分が面白いと思う物を映像化するというポリシーは貫かれており、それがシリーズ後半になるほど意外な面白さを生んでいます。
 結果、本作は平成ひとけたの作品としては望外の佳作に仕上がったのではないでしょうか。

 平成ひとケタ台を代表するヒーロー物と私が呼ぶ所以はそこにあります。

 個人的に最高傑作と思うのは放送後にVシネとして作られた続編「蘇るマルザン帝国」編です。
 これはもう題材の元ネタを調べるのも大変と言うほどマニアックな設定なのに単独作品として見ても「無暗に尊大なのに弱いヒーロー」の存在や「デザインそのままに頭の良くない敵首領」といった従来のヒーロー物の裏をかく設定がきちんと消化されているので結構楽しめます。

 平成が2ケタに入ってからは「琉神マブヤー」「ホワイトストーンズ」などに代表されるローカルヒーロー物のトレンドが巻き起こり既成のライダー、戦隊と並びたつ状態で新たな変遷を刻んでいますが、セーラーファイト!は間違いなくそれらの方向も先取り、或いはそれ以前と以後の橋渡しとして特異な地位を占めていると思います。



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コメント

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No title

最初てれびくんに載っててびっくりしたんですよ、でも深夜だから見られないと当時は諦めてました。ところが、作者が動画サイトユーチューブで公開してくれて見ましたがほのぼのしてて、登場人物がアホだらけなのに憎めない連中ばかりでその割に決めるところはばっちり決めるのがツボでした。薩摩剣士隼人が、敵も味方も天然で良い子ちゃんでなおかつアクションが本格的なのとは対照的です。日常系ヒーロードラマの原点でしょうね、ただ最初はセーラームーンのパロデイかと思いました。

Re: No title

> 光になれ さん

 私の場合「ヒーロー列伝」の存在を知ったのは当時の「宇宙船」誌上でした。
 でもって
>最初はセーラームーンのパロデイかと思いました~
 当時の大半の視聴者がそう思ったと思います(爆)

 「てれびくん」掲載のニュースは当時「ヒーロー列伝」でも宣伝されて正直びっくりしたものです。

 深夜どころか「名古屋地区のみの放映」ですからよくこれが「てれびくん」に載ったものです(笑)
 (尤もてれびくんは後に深夜番組の「ウルトラセブンX」もやっていましたが)

 ネタのマニアック度は当時としては結構先鋭的で、あれに付いてこれるのは余程のマニアだけだったのでははないでしょうか。

No title

今はもう完全にビデオ撮影になってる分、フイルム撮影なのが新鮮ですね。セーラーファイターや隊員たちのやりとりも微笑ましい。コスモファイター編はネタがマニアックすぎて分かりませんでしたが、このコスモファイター編が1番面白いです。

No title

>光になれさん

 DVDに収録のスタッフインタビューによるとあの当時でもフィルム撮影による製作は難しいものだったそうです。
 第一話などは撮影に使われたフィルムがアメリカまで送らないと現像できない物だったそうで急遽1話分丸ごとリテイクされたという曰くがあったそうで(驚)

 コスモファイター編、元ネタを探すのも大変な位盛り沢山なパロディが入っていますが単にシチュエーションコメディとしても面白かった印象ですね。