レイアウト趣味から見る特撮映画から・「改めてモスラに酔っぱらう」

 新作公開に合わせてか、CSやBSではゴジラネタや怪獣ネタが花盛りです。
 BSでは4K対応画像で「キングコング対ゴジラ」の完全版が放映されましたが、噂に違わず絵がクリアな事!
 うちのテレビでは通常HVへのダウンコンバート版なのですが、それでも効果は絶大です。

 ・・・とか言いつつ今回のネタはそちらではなく別なチャンネルでやっていた「モスラ」(昭和36年・東宝)だったりします。
 この作品については以前にも触れた事がありますが、今回改めて観てもミニチュア特撮の精華という奴に大いに酔っぱらいました。

 特に今回注目したのが合成の巧みさ。
 普通なら実景に巨大怪獣やミニチュアをはめ込むというのがセオリーなのですが、本作に限って言えば「ミニチュアの風景の一部に人物や実景がはめ込まれる」というのが主体の様です。

DSCN6521.jpg
 (東宝映画「モスラ」より画像引用)

 例えばこのカット、歩道部分が実景で車道を走る戦車がミニチュアです。道路外の風景も基本的にはミニチュアの様です。
 こういうカットは余程ミニチュアの造形とリアリティに自信を持っていなければ、なかなかやろうと思わない事ではないかと思います。

 あるいはサンダーバード的にミニチュア世界に人間の方を組み合わせる事でセットとの一致感を感じさせようという意図もあるのかもしれません。

 横田に出現した幼虫モスラは青梅街道を東進、戦車隊や戦闘機の攻撃を受け続けながら全くペースを落とさずに半日かけて渋谷に到達します。
 青梅街道のカットは昼間なのが渋谷では夕刻、東京タワーに到達するのは真夜中という時間経過があるのですが、特に渋谷~東京タワー間はライティングで宵の口と真夜中の時間経過を使い分けているのが見事です。

 その渋谷のミニチュアは以前紹介したラドンのそれをも上回るスケール感!
 かつてJOHN ALLENが製作した世界的に有名な鉄道模型のレイアウト、GDLINEと言うのがあるのですが、当時のTMS誌がそれを紹介した時にシーナリィの表現の巧みさと演出力を讃えるのに「見よ!レイアウトは生きている」と表現した事があります。

 モスラのミニチュアも然り。正に「ミニチュアの生きている実景」とでも言うべき描写が満載なのです。
 常に移動を繰り返し、場所によって隊列を変えながら攻撃を加える戦車。
 横に砲列を敷きながら全弾撃ちつくしてランチャーが空になると1台づつ直ちにUターンして離脱してゆくミサイル車。

 更にそれらの背後で避難民の誘導をしながら移動するパトカーや白バイ。

DSCN6533.jpg
(東宝映画「モスラ」より画像引用)

 或いはモスラの進撃に崩れ落ちる東横百貨店や紫苑会館(諸事情により架空の建造物なのだそうですがとてもそうに見えない)に至るまで「ミニチュアが与えられた役割をきちんと演じている」というのが凄い。

 実は特撮映画のミニチュアというのは背景であると同時に演技を要求される役者としての性格もあると思います。
 上述の建造物類などはまさにそれでモスラが圧し掛かるまではセットの背景のひとつとして静止しているのが圧し掛かられた瞬間に一転して「それらしく崩れ落ちる演技」を見せなければならない。
 この点で黄金期の東宝特撮は他社を圧倒する表現力を持っていると思います。
 (同じミニチュアシーンでも大映特撮はこの点でやや理解不足に見えますし、松竹・日活は問題外。東映は観た範囲では「宇宙快速船」が光るのみ)

DSCN6534.jpg
(東宝映画「モスラ」より画像引用)

 更に俯瞰用のスモールスケールとアップ用のラージスケールのセットの使い分けが実に巧みでモスラの脅威を立体的に視覚化して見せています。
 以前、本ブログで「レイアウトにおける魅力的な俯瞰とは」と言った題材で(未消化な内容ながら)一席ぶった事がありますが本作の場合、「ミニチュアで見せる俯瞰」の理想みたいなカットもいくつかあります。
 これなどは最近のテレビにある「疑似3D機能」なんかで観てみるとつい引き込めれてしまうほどの臨場感があります。
 たった1カット、3・4秒ほどの映像なのに

 これに限らず、本作の場合「ミニチュアと分っているのにそれでも引き込まれてしまう」という長所というか特徴を持っています。

 本作で唯一惜しいのはクライマックスの成虫モスラによるニューカークシティ襲撃が如何にも付けたし感満載だった事。
 渋谷や青梅街道のシーンの丁寧さを観た後だけに観ていて辛い物があります。
 (本作はアメリカの「最低映画祭」一本として上映された事もあるそうですがそうした悪印象の一因はラストの本編部分を含めた描写不足も関連している気がします。とにかく前半と後半で特撮のテンションが右肩下がりになってしまうのが惜しい)

DSCN6535_20160804225254f8c.jpg(東宝映画「モスラ」より画像引用)


 とはいえかなりのパノラミック感のある建込みや配置は「世界大戦争」のニューヨークよりも魅力的なセットになっているとは思うのですが。

 それにしても「ミニチュアの精華」と言う言葉がぴったりくる本作。繰り返し見ていると何となくレイアウト工作をしたくなって来ます(笑)


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コメント

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モスラ

 やはりミニチュアの精巧さに圧倒されましたか(笑)
この頃は単体で出る怪獣映画が中心で、それだけに話の構成を始め東宝強いては円谷ミニチュアワークの世界腕の見せ所と言った作品が
続いていました。
特にラドンからのカラー化に伴いミニチュアセットのリアル化も要求されM4戦車の大道具を始め先のラドンではF86F実物の米軍機から
借りたキャノピーを付けた物なので言われなければ、それまでの事ですが製作サイドの拘りと熱心さを感じます。
モスラですが後に転用された模型も多く60式装甲車改造のミサイル戦車はウルトラマンのネロンガとニセウルトラマンにC46機は64年の
モスゴジそして68年のセブン疑似空間ではU警備隊訓練機に。
後はホビー物の書籍でロリシカ軍原子力熱線砲をベースに日本の国土に合わせメーサー車(66式?)が誕生した経緯が載って居ましたが
中々考えた事がらだなと感心しました(爆)
東京ではMXでブースカ、埼玉TVでウルトラQ、神奈川テレビで初代ウルトラマンと・・・まあ円谷特撮大会の様相でTV局で主導権
を握っている世代は我々と同世代で拘りの塊みたいな人と推測します(笑)
ただ円谷特撮シリーズDVDコレクションのセレクトですが既にQまたはブースカが放映中なのに同様なセレクトで、ここは10-4-10-10
とかミラーマン、トリプルファイター、スターウルフと言った作品セレクトを期待したいものです。

Re: モスラ

>星川航空整備部 さん

 帰省にてコメントへの返事が遅れてしまいすみません。

 CSのチャンネルNECOでは先日ミラーマンがスタートしましたが、冒頭に柴俊夫主演のパイロットフィルムが掛かるというマニアックさでした。

 ヒロインが南沙織で観流すとシルバー仮面とあまり違わない気がします。
 SGMの村上キャップが南原宏治で一緒に出ている御手洗博士よりも偉そうな演技が強烈でした(笑)