「SF怪獣群像」

 先日の秋葉行きで見つけた一冊。
 以前紹介した「ちびっこ怪奇画報」「ちびっこ未来画報」との関連性も感じられる一冊ですが個人的にはこれが揃った事で昭和40年代前半のマンガ雑誌の俯瞰ができた様な感じもします。
 但し、今回の本は前述のシリーズとの直接の関連はありません。
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 「SF怪獣群像」(BOOK&MAGAZIN社・)
 本書は昭和40年代前半の少年誌のグラビアを飾った怪獣たちを中心に纏められたものですが、最大の特徴は「取り上げられている怪獣たちの大半がオリジナル作品」である事にあります。

 プラモで一時商品化された「ワニゴン」「ガマロン」みたいな奴のオンパレードとでも言えば良いでしょうか。
(本書によれば「ガマロン」自体は日活が「大巨獣ガッパ」製作の際に検討していた候補作のひとつが商品化された物らしいとの事ですが)

 昭和40年代前半の第一次怪獣ブームの当時は第二次の時とは異なり、五月雨式にヒーロー物が多作される事がなかった事もあって少年誌を中心にオリジナルデザインの怪獣グラビアや絵物語が描かれる事が多い時代でした。
 当時幼少だった私の記憶でもこの種の「テレビでも映画でもない怪獣もの」のいくつかに触れた記憶がありますし、それらの中には単なるパチモンのレベルを超えた物もありました。
 光瀬龍の「マグラ」豊田有恒の「白骨怪獣ガイア」などは後に一般書で文庫化されそこで初めて読んだのですが、原作が「少年誌の絵物語」だった事も本書で初めて知りました。

 一方で怪獣そのもののデザインはイラストと言う事もあってどれもこれも「泥臭さを伴うおっかなさ全開モード」の代物ばかり。
 田舎の蚊帳の中で夜読むには「下手な怪談ものよりも寝られなくなりそう」なレベルです。

 本書はそんなイラストや絵物語を俯瞰で取り上げ、かつ当時の怪獣ブームの流れも含めて論評しているものですが、資料の豊富さと論評の的確さで非常に読み応えがあります。
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 そうそう、当時のグラビアの特徴としてもうひとつ、ごく一部ですが、それらのオリジナル怪獣の中には「既存の映画&テレビ怪獣と対決、共演する題材」なんてのもあったりします。
「ガメラ・ガニリ・おばけコウモリの怪獣大進軍」「戦艦大和とエビラ・ラドン・カブトドン・ザンギラの怪獣大海戦」なんてタイトルを見るだけで読者の脳内ワンダーランドを刺激しまくります。

 もっと凄いのが「青銅大魔神と大ムカデ・カニ竜の鎌倉決戦」「怪物ミイラとマンモス仁王の激闘」・・・どれも妖怪物みたいですがでてくるキャラクターが巨大で且つミサイルやが飛び交い吹田の操車場が舞台になるというれっきとした現代劇だったりします。
 そして極め付けの「ゴジラ対大魔神」「レッドキング対泥田坊」「バルタン星人対巨大ジャイアント馬場」・・・是非映像が見たかった!!

 ブーム当時の勢いと言う奴をこれほどストレートに伝えてくれる一冊はまたとありません。
 本書は同人誌かそれに近い出版物の様なので一般書店で見かける可能性は低そうですが個人的にはお勧めできる一冊です。


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コメント

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もしかして

 以前にコメントした事が(笑)
まさか、この様なカルト的な本が有ったとは・・・この1冊があれば私が長年謎に思っていた事も一気に解決していたかな(笑)
青銅大魔神は大伴氏が1966年9月に出した作品で例のジャイアント作戦の下地?とも言える物語でソノシート物語ですがリアル感は、
こちらの方がジャイアントより上かと思います。
鋼鉄巨人Gのオリジナルと言われている青銅大魔神が熱海へ上陸して新幹線と自衛隊を撃破し鎌倉へ迫る見方によっては大河ドラマ的?
な要素もあって(笑)。
確か最近も博多湾付近で沈んでいる元寇の軍船調査と言う題名で様々なTVや本、ネットでも上げられていますが何か、これらの要素
を先取りしている作品とも感じます。
で私が以前コメしたマンモス仁王!
光山市交通局さんが取り上げてくれて感謝しています!
確かに第一次怪獣ブームは、それまで映画でしか見られなかった怪獣をTVに持って来てチャンネルを捻れば怪獣や星人が都市を破壊
したりスペクタクルな展開を見せるのが特徴で第二次怪獣ブームつまり変身ブームとは明らかに異なった構成です。
特に初代ウルトラマン製作時の1966年は東宝特撮も他の作品と共に斜陽化の兆しが明確となり円谷サイドは映画界とは別にTVをも
ってオリジナルな作品を送り出す試行錯誤な時代でもあり青銅大魔神も、その一旦かもしれません。
ただ仏像やスフィンクス、ピラミッドと言ったアイテムを怪獣の世界へ繋げた感覚は、やはり後のヒロー物が生み出す前兆か単に
古い考えを持った人も多かった事も考えられます。
ウルトラマンのデザインも能や仏像のイメージを参考にしていますから。

Re: もしかして

>星川航空整備部さん

 前にコメントを頂いて以来「マンモス仁王」がどんな作品だったのか是非見たいと思っていたのですが思わぬ形で実現して私自身驚いています(笑)

 挿絵のインパクトの強さは私の予想をはるかに上回るもので「吹田の操車場でワムの群れを足元に蹴散らしながら照明塔を振り回す巨大ミイラ男と照明塔の凶器攻撃に耐える仁王」更に「東大寺大仏殿から巨大香炉を咥えて救援に駆けつける巨大唐獅子」と言う絵面の強烈さには酔っぱらいました。

 本書はまだ入手可能と思われるので探してみる価値はあると思います。