思いでの昭和ヒーローから「宇宙の勇者・スターウルフ」

 今回は懐かしの昭和ヒーローばなしから。
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 「スターウルフ」(昭和53年・円谷プロ・YTV)をば。

 昭和53年当時はスターウォーズの夏公開を控えて(本国から約1年遅れ位の日本公開だったので向こうのフィーバーぶりは伝わっても当時は観た人があまりいなかった)その人気にあやかろうと多くの類似作品が製作されていた時期でした。
 東宝がスターウォーズの当初予定されていた邦題をそっくり頂いた「惑星大戦争」を正月に公開、東映はGWシーズンに「宇宙からのメッセージ」を投入、併せてスターウォーズの本公開時期には「さらば宇宙戦艦ヤマト」をぶち当てるという盛り上がりっぷり。
 映画ですらこうでしたからTVの方も何かというと「SF」「宇宙」づいていました。

 本作の裏にはアニメの「SF西遊記・スタージンガー」同時期には「宇宙海賊キャプテンハーロック」「UFO大戦争戦え!レッドタイガー」、本作よりやや遅れて「宇宙からのメッセージ」のTV版続編「銀河大戦」が製作されています。

 そんなブームの折に特撮物の御大円谷プロが満を持して投入したのがこの「スターウルフ」だった訳です。
 前述した便乗作品は既に原作が一定の人気のあったハーロックを除いてどれもがどこかやっつけ企画っぽい感じがあったのですが本作は当時のSF界の巨匠だったエドモンドハミルトンの代表作を実写で映像化するという正攻法かつ一味もふた味も違うアプローチで殴り込んだわけです。

 宇宙の殺し屋と異名を取るヴァルナ星のウルフアタッカーのエースで「スターウルフ」の異名を持つ主人公ケンはふとした事故から仲間を殺してしまい裏切り者として追われる身となる。
 逃亡の果てにケンを救助した地球のスペースコマンド(宇宙の何でも屋)のキャプテンはウルフアタッカーに妻子を殺されている恨みを持ちながらも戦士としてのケンの資質を見抜いた事から素性を承知でスペースコマンドの一員に迎え入れるのだった。
 しかしキャプテン以外のクルーはケンの正体を知らず、またケンに兄を殺されたウルフアタッカーの女コマンドは執拗にケンを付け狙う。
 そんな逆境の中ケンはスペースコマンドの危険な任務に身を晒すのだった。

 ざっくりとストーリーを説明するとこうなります。

 「宇宙の殺し屋ウルフアタッカーから命を狙われ、素性が知れたら仲間からも狙われる」
 このハードボイルドな設定は当時の類似作はもとより当の円谷プロ作品の中でもかなり異色です。

 しかも前半13話はとある軍事惑星で建造中の超兵器を爆破するという任務をメインとした完全な連続劇の体裁をとっており、その中で宇宙航海の驚異、地球外惑星の風俗などを絡ませつつ大河ドラマ的なスケール感を持った作品でした。
 大河ドラマ的と言っても登場人物がかなり限定されており、その中でのドラマが主になっておりスケール感の表現には専ら特撮による宇宙描写、メカ描写が用いられます。

 ただ、如何せん話も画面も実に地味なのがこの作品の弱点でした。
 原作がスペースオペラの古典ともいえる作品ではあるのですが、実はスターウォーズ的な派手さや盛り上がりを期待すると肩透かしを食います。
 主役メカはスペースコマンドの汎用宇宙船バッカス3世一隻だけ。汎用船なだけに戦闘に特化しているウルフアタッカーのウルフクローには歯が立たず、正面きっての戦いは殆どありません。
 ですからメカとしての見せ場も専ら航海シーンに限定されます。
 (但し前半のクライマックスである超兵器基地からの脱出シーンはマイティジャックもかくやと思われる大特撮絵巻が堪能できるのですが)
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 とはいえ地味ながらミニチュアワーク主体の特撮は実に見応えたっぷり。30分物のTVフレームでこれだけスケール感を感じさせるセットはなかなか見られないのではないでしょうか。

 前半13話はどうにか初志を貫徹した本作でしたが後半13話は明らかにスターウォーズ人気を意識した設定や演出が目立つようになります。
 バッカス3世に艦載戦闘機が載せられたりR2-D2を意識した様なマスコットロボット(その名も「コンピューターロボットRM3」という78年当時でもアナクロなネーミング)が出てきたりウルフアタッカーが「ウルフ軍団」と呼称されたりそこの司令官がレーザーサーベルをいきなり持ち出したり(笑)


 そして18話以降からはドラマの連続性もなくなり1話完結の活劇風ストーリーがメインになってしまいます。

 少し厳しい書きかたになりましたが、本作の放映時間は日曜夜7時という超ゴールデンタイム。
 一家が揃ってテレビの前に鎮座して晩御飯を食べている時間帯ですから本来ならもっとご家族向けの「アップダウンクイズ」とか「お笑いオンステージ」とかになってしまうところです。
 ですが、当時中学生の私は親の反対を押し切って当時「スターウルフ」を全話を通しで観ておりました。

 そこまでして観ているのですから前半の13話くらいまでは「世界的なSFの名作の映像化を観ている」という言い訳も立ったのですが18話以降の「黄金ロボット(ファイヤーマン改造)のはなし」とか「美女軍団の惑星(リーダーは大山のぶ代)」とかが掛かるとあまりの恥ずかしさにうつむいて黙々とご飯を食べるしかない訳で。

 ただ、最終回のウルフ軍団とスペースコマンドの決戦シーンはまさに円谷の底力を思わせる迫力物の戦闘シーンで本作の収穫のひとつと言えます。

 そんな複雑な思い出のある「スターウルフ」ですが20年後くらいにLD BOXが出た時には帰省中の故郷のレコード屋で入手を果たしています。
 あのくそ重いLDBOXを下げて県外の観光客の聖地である「宮澤賢治ゆかりの出版社」のベンチで「スターウルフのLDBOXのブックレットを眺めてにやにやしていた当時の私」

 はっきり言って20年前にもどったら張り倒してやろうかと今にして思います(恥)

 余談ですがスターウルフが終わって一か月後、同じエドモンドハミルトンのもうひとつの代表作である「キャプテンフューチャー」がNHKでTVアニメが放映されています。
 こちらも当時のスターウォーズ便乗作にない地味な作風と無闇に力の入った作画が印象的なシリーズでした。
 実はこの2作、どちらも主題歌がヒデ夕樹という共通点があったりします。



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コメント

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スターウルフ

 光山市交通局さん偉い!偉い!
私も本作を観たのは中学時代で受験の波がそろそろと言った時期でした(笑)
私も第一話が印象的だと思います主人公が進撃中に玩具の銃で遊んでいる子供を撃つ撃たないで揉めて事故で仲間を死なせデビルマンの
様に裏切り者の十字架を背負わされる構図は円谷にしては珍しい構成です。
しかし子供が初回から絡み子供の立場に立つヒローはウルトラマンからの伝統を引き継ぎ強いては原点回帰を狙った作風とも感じます。
前にもコメしましたが円谷の場合、75年のレオ終了後はボンフリー、アイゼンボーグ、コセイドンとウルトラの原点を持ちつつ変わった
ヒーローものを送り出しスターウルフは光山市交通局さんが言われる様にMJ的な要素を宇宙へプラス。
このパターンで有名なのは惑星大戦争1977で東宝がウチには海底軍艦があったからコレを宇宙にと言った発想(笑)
まあ昭和53年~54年は、ある意味・・・特撮番組やSFアニメの単発的な戦国時代だったのかもしれませんね。

Re: スターウルフ

>星川航空整備部さん

 昭和53年は東映にとってはヒーロー物が「スパイダーマン」一本しかない不遇の時期だったとプロデューサーが語っておられましたが、全体で見ると円谷や創映舎なども製作していた上に秋には8時台特撮最大のヒットとなった「西遊記」も放映されているので決して冬の時代ではなかった気がします。

 とはいえどれもが試行錯誤の過程を経ている所は仰る様に「戦国時代」と言っていい状況でしたね。