思いでの昭和ヒーローから「スパイダーマン」

 懐かしの昭和ヒーローばなしから
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 今回は「スパイダーマン」(昭和53年 東京12チャンネル 東映)をば。
 本作はこれまた当然の様に故郷では放映されなかったところに持ってきて、マーベルとの版権契約との兼ね合いから長いことパッケージメディア化やCS放送もされなかったため私にとっては幻の番組でした。

 当時の雑誌(テレビマガジンとかテレビランドなど)ではそれなりに露出はありましたし(理由は後述)超合金のレオパルドンはあちこちのデパートに置かれていましたから大体のアウトラインがわかったという程度です。
 ティーン向けには当時発刊されていた「ランデヴー」という雑誌で取り上げられ「これほど面白い番組も珍しいのよね」とか書かれていたのが感想らしい感想でした。
 (因みに当時は「宇宙船」はおろか「アニメージュ」もありませんでした)

 そんな訳で初見は平成ひとけたの時期にレンタルビデオ屋で借りたVHSに入っていた2話分+劇場版です。

 実はこれを観るまで当時の東映ヒーロー物のイメージは「たまにハードな展開があっても基本子供向けのおふざけがどこかに入っていて、中坊以上が観るにはそこはかとない気恥ずかしさにつきあわされなければならない」と言うイメージがありました。
 ところがこのスパイダーマンにはそうした遊びが殆ど無し。1話完結でヒーローが悶々と悩みゲストは大概悲惨な目に遭い、情念と執念と復讐心のるつぼみたいな展開ばかりだったのには驚かされると同時に少なからず本作を見直したものです。
 (レギュラーに子供はいますが殆どおまけ扱い)

 300年位前に宇宙のマッドサイエンティスト・モンスター教授を追って地球に来訪、あべこべに囚われの身となっていたスパイダー星人と偶然出会った青年がスパイダー星人のエキスを注入されスパイダーマンになる能力を身に付けた。
 モンスター教授の繰り出す怪人は時に大掛かりに、時に人の心の隙をついて暗躍する(何しろ若者たちに新型の幻覚剤をばらまいて社会の崩壊を目論むなんて作戦まである)ばかりか、ピンチになるとゴジラ並みに巨大化するという強大さ!

 それに対抗するスパイダーマンは蜘蛛の糸や網を駆使したり東京タワーや高層ビルの壁面を自在に登る超能力に加えて「スパイダー星人から譲り受けたスーパーカーや宇宙船をも繰り出し」「挙句の果てには宇宙船が巨大ロボットに変形して巨大怪人と戦う」という非常に豪華な展開!!

 そう、実は本作は後のスーパー戦隊やメタルヒーローのフォーマットの基本を作り上げた東映ヒーローの隠れた中興の祖とも言えるのです。
 実は本作の前年から年頭にかけて東映のヒーロー物は次々に終了。
 遂には53年の1月から本作がスタートする5月までのわずかな期間とはいえ「東映のヒーロー物が一本もない」状況だったのです。

(尤も東映に限定しないなら円谷の「アイゼンボーグ」創映舎の「レッドタイガー」があったのですが)


 スパイダーマンの企画から製作がこれでもかとばかりに詰込み気味だった背景には東映の危機意識があったのではないかと思っています。
 そして危機的状況で「火事場の馬鹿力」的なオーラを発揮するのも東映ヒーロー物の強さの秘密がある様な気がします。
 
 スパイダーマンのアクションは原作者も絶賛するほどだったと言いますし、およそあそびというもののないシリアスメインな展開(ヒーロー物と言うよりも9時台に放映されていた大人向けアクション物のノリにごく近い)
 それを彩る渡辺宙明のBGMとヒデ夕樹の主題歌(「陰々滅滅としてカッコいい」とまで某誌に書かれた)すらもがどこか神がかっています。

 主人公の山城拓也を演じた藤堂新ニ氏は後に特撮物で悪の将軍や帝王を演じる事が多い事でも分る様にヒーロー役者としてはどこか影のあるルックスと演技なのですが、それもこのスパイダーマンのイメージにぴったりでした。
 モンスター教授に父を殺された恨み、スパイダー星人から受け継いだ執念をもちながら周囲の誰にも自分の正体を明かせない(この理由が不明なところも本作の弱点ですが)苦悩を併せ持つ、屈折度で言ったら昭和ヒーローでも一二を争うキャラクターでした。
 (恐らくですがこのキャラクターは昭和40年代に池上遼一・平井和正でコミカライズ化された日本版スパイダーマンの主人公小森ユウのDNAも混じっている気がします)
 「父に捧げよ 戦えぬ勇者の歌を」なんてサブタイトルは本作でないとぴったりきません。
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 余談ですが本作に登場する巨大ロボットの「レオパルドン」、愛車の「スパイダーマシンGP-7」はそれまでの東映メカとは一線も二線も画したセンスの良さ。
 一歩間違うとやたらゴテゴテした印象を与えてしまうディテーリングの多さを持ちながらぎりぎりでカッコよさを成立させているのには驚かされます。
 
 とにかくたった3話分だけなのに一気に酔っ払い「これは是非全話観たい!」と言う欲求が募ったのでした(笑)

 そんなスパイダーマンですが、全話通しで観られたのは21世紀に入ってDVD BOXが出てからです。
 これを観てまた驚いたのは「怪人が登場しない話が複数あった事」「役者が顔出しで巨大化しレオパルドンと戦う話」とか「後番組のバトルフィーバーの主役たちが怪人役でゲスト出演していた事」とか衝撃を受けまくる訳です。

 「マーべラー!チェーンジ・レオパルドン!!」
 毎回のクライマックスで必ず宇宙船が飛んできてロボットに変形、巨大怪人と戦うというシチュエーションは後に(というか直後の「バトルフィーバー」から)スーパー戦隊の基本フォーマットになりました。
 一方でその唐突さが時にドラマの流れを断ち切ってしまう弱点を持っているのも本作の特徴です。 


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コメント

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No title

 東映のスパイダーマン!
 光山市交通局さんは、おそらく私よりも少しお兄さん(笑)だと思うのですが、我々の年代なら「スパイダーマン」とのファーストコンタクトは、マーヴェル版ではなく、この「東映版」ではないでしょうか。

 登場のたびに見得を切るスパイダーマンと、その口上が素晴らしいのです!

 オープニングの「チェンジ!レオパルドン!」が「チェンジ!やっぱりうどん!」と聞こえていたのも、懐かしい思い出です。

 

No title

確かゴレンジャーやジャッカーの放送が終了した後に始まったんですよねこの番組。この番組からマーベルとの提携が始まってバトルに繋がったと。今の子供にはアニメ版アベンジャーズとアメコミのスパイダーバースで本家と東映版両方知った世代もいると思います。アメコミのスパイダーバースには、当時コミックボンボンで連載したスパイダーマンjも登場してますし。なお個人の感想ですが、星矢Ω終わった後スパイダーマンじゃなくて何で松太郎なんだよーと思ってました。しかもアニメ版アベンジャーズはテレビ東京。ただ小森ユウ版だけはどうしても見る気が起きないのです。

No title

>KOUさん

「キノコ狩りの男・スパイダーマン!」



 私にとっての本当の意味でのスパイダーマンのファーストコンタクトは昭和40年代中盤の「池上遼一バージョン」でした(笑)

 あれはとにかく暗かった!
 初めて読んだのが「ニセスパイダーマンが高速を走る一般車を襲い火の海に変える」なんてシークエンスでしたから「これのどこがヒーローやねん」と唖然とし、更に「スパイダー」の意味が「蜘蛛」だと知った事でそのイメージがさらに加速しました(爆笑)

 東映版は既述の通りビデオでの初見だったのですが意外と期待を裏切らない内容で好きな作品です。
 レオパルドンの超合金魂は速攻で予約しましたし、サントラCDは今でも時々カーステで聴いたりします(おっさんのする事か?)

No title

>光になれさん

 うちの子供はアメイジング系のみをスパイダーマンと認識しているので、たまに東映版を見せると「心底嫌がります(涙)」

 ですが東映版とほぼ同じ時期に本家アメリカで「もっとへんてこな劇場版スパイダーマン(もちろん実写)」が作られていた事を覚えている人はいませんね。DVDがないかな。
 また、これと前後してハヤカワ文庫でもスパイダーマンが文庫化されていましたから内容を期待して購入したら「悩みのベクトルが日常系し過ぎていて」思いっきり肩すかし気分だった思い出があります。

>アメコミのスパイダーバース
 これが出来るんなら次は「ミズマーベルと競演するキャプテンジャパン」も可能なのでは(笑)
 シンゴジラの次回作に「レッドローニン」を出すとか(あ、これは逆パターンですね)