思いでの昭和ヒーローから「魔人ハンター・ミツルギ」

 昭和ヒーローの思い出ばなし。
 とか言いつつ、初見が平成なのですが(汗)
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(ケイブンシャ刊「昭和57年度版・全怪獣怪人大百科」P368より画像引用)
 今回は「魔人ハンター・ミツルギ」(昭和48年 国際放映 CX)をば。
 本作は放映期間が1クールという短期放映(特撮ヒーロー物としては異例の短さです)
 しかも1月から3月という年度末時期だった事もあって異様なほどの影の薄さを誇ります

(白獅子仮面やストラダ5も1クールですが年度初めの4月スタートだったのでそれなりに印象に残りやすい)
 放映後も話題に上る事は少なく、専門誌でもあまり取り上げられなかった作品です。
 後にとある本で「カッコ悪いヒーロー物」の第一位を飾ったりした事のが一番目立った出来事ではないでしょうか。

 ではこの作品が単に目立たない作品かというとそんな事はなく、むしろユニーク度では他を圧する個性の塊みたいな作品だったりするのですから世の中は分りません(笑)

 本作のユニークな点はまず「時代劇の巨大ヒーロー物」「史上初の3人合体の巨大ヒーロー」である点です。

 徳川家康の時代(レギュラーに服部半蔵まで登場する!)宇宙の彼方から地球侵略にやってきたサソリ魔人は怪獣軍団を引き連れて侵攻の手始めに江戸幕府の転覆を目論む。
 サソリ魔人の存在を知った古代から日本を守護するミツルギ一族の長老は銀河・彗星・月光の3兄弟忍者にサソリ魔人の討伐を命じる。

 3人は「智・仁・愛」の3本の剣を併せる事で巨大神ミツルギに化身しサソリ魔人繰り出す怪獣と戦うのであった。

 この設定だけでも十二分にユニークな事がお分かりいただけるのではないかと。

 ですが本作の一番ユニークな点はそんな所にはありません。
 何と本作の特撮シーンの殆どが「人形アニメ」で表現されているのです。

 CG全盛の今ならともかく、あの当時人形アニメを撮ると言えばヒトコマヒトコマを少しづつ人形を動かしながらの撮影。しかも対決ですから複数の人形の操作もしなければなりません。
 そこに戦闘シーンらしいアクション演出まで取り入れるのですからその手間は想像を絶します。

 「それなら他の特撮みたいにぬいぐるみとミニチュアセットでやれば?」という疑問が当然出て来ます。
 それに対する答えが「ぬいぐるみでは表現不可能な怪獣の造形」でした。
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(ケイブンシャ刊「昭和57年度版・全怪獣怪人大百科」P369より画像引用)
 例えば第一話、江戸を襲う魔神デノモンは人間型の巨人で登場するのですがミツルギとの戦闘中に鎧が脱げるとその下から出て来るのは「全身スケルトンの骸骨」
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(ケイブンシャ刊「昭和57年度版・全怪獣怪人大百科」P369より画像引用)
 人形アニメの骸骨剣士はアルゴ探検隊の映画なんかでお馴染みですがまさかこんなのが和製ヒーロー物で拝めるとは!

 その他4本足のカマキリみたいなグラグラン、完全に犬体型のコマンガー、首の長いイグアナ体型のカネクジラ、どくろの顔の蜘蛛みたいなゴールドサタンなど
 当時の特撮クリーチャーの中では群を抜いた個性的な体型の怪獣が毎週登場しました。

 本作のアニメートを担当したスタッフは同じ国際放映の「コメットさん」でも人形アニメを担当していますがファンシー系の可愛らしい動くぬいぐるみ等の描写が多く、こういう百鬼夜行みたいなののアニメートは大変だった気がします。
 (ずっと後にスタッフが樋口真嗣とのインタビューで本作の大変さについて語っていましたから私の想像も外れていなかった様です)
 本作が短命だった理由のひとつにこの製作体制の逼迫があったのではないでしょうか。

 また、人形アニメの宿命で、登場するクリーチャーが設定上では巨大でもスーツメーションに比べてはるかに小サイズなため「火が絡むとモデルの小ささがバレバレになってしまう」のも画面の上ではちゃちさが強調される結果になってしまいました。
 (ミツルギの必殺技が「胸から飛び出す火炎弾」なため、どうしても「怪獣が燃えなければならない」)
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(ケイブンシャ刊「昭和57年度版・全怪獣怪人大百科」P368より画像引用)


 尤も、ユニークだったのは本編もそうでした。ミツルギ一族の剣士たちは江戸時代なのに「ヘルメットにレンジャー服、胸には何と手榴弾(それもパイナップル)まで装備している」という時代劇離れした格好。
 しかもその姿で町人に聞き込みまでやっていたりします。
 これほどぶっ飛んだ設定とデザインでありながら、それ以外のキャスト(第一話のゲストが「徳川家康」氏)がほぼ全員「完全な時代劇のいでたち」な上にある話のサブタイトルが「獄門台の生首が笑う!」なんて妖怪時代劇丸出しなのだからたまらない。

 実は本作は平成になってからレンタルビデオ屋にあったテープで見たのが初見でした。
 ここまでマイナー極まりない番組、故郷でやってくれるわけがない。実は昭和48年の特撮物で岩手で放映されなかったのは本作と「風雲ライオン丸」だけでした(他はほぼすべて放映されましたが、考えてみたらそっちの方が凄い話です)
 最初はそれほど期待していなかったのですが、それなりに観られる構成だったので後にCSで放送された時に全話制覇しています。

 余談ですが本作の主題歌は個人的に中々の名曲と思います(あとEDも)
 特撮時代劇の中でも屈指のスケール感のある曲で(しかも時代劇らしさも随一)今でもCDをよく聴き返します。



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コメント

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ミツルギ

 リアルタイムで昭和48年1月から観ていました(笑)
確か小学館には47年10月位から短編漫画として連載され年明けの号になると突然最終回?と言った突撃ヒューマンと同じパタン!
本放送も3か月でしたからね(1クールで打ち切?)
私はロードスが印象に残りますね・・・マジンガーZの影響を受けたのが見え見えですが実写映像かつ人形アニメが斬新?
ただ動きがイマイチぎこちないw
この作品は忍者部隊月光を時代劇に変えプラス怪人怪獣物を加えた赤影のリニューアル版とも取れます。
当の忍者部隊月光も実写版の際は設定を太平洋戦争から現代へ変え特殊部隊が敵地を奇襲する・・・ボンドの世界ですよね。
仮に太平洋戦争を舞台にすると暗い影が漂う作風で長続きはしない番組で終わった可能性も高く単行本の方でもミッドウェイ海戦で
空母4隻を失い月光たちは新たなる敵戦闘機、敵基地攻撃に向かう、やはり重たい作風でした。

No title

>星川航空整備部さん

 動きがぎこちないのは当時のコマ撮り主体の人形アニメの宿命ですね。この弱点をある程度カバーしたゴーモーション撮影が物になったのはずっと後のドラゴンスレイヤー辺りからですし、CGでそれ以上の効果が出せる今となってはこういうのはもう見られないでしょうね。

 少年忍者部隊月光、原作者の吉田竜夫氏の死去の折に紹介記事で単行本の表紙を見たきりです。実はその頃はテレビの「月光」の存在を知らなかったので(たぶん故郷でやっていない)後からテレビ版を観た時に「あれ?戦記物じゃなかったっけ」と驚いた事があります。
 星川さんとは逆のパターンですね(汗)