思いでの昭和ヒーローから・「マグマ大使」

 久しぶりの昭和ヒーローネタから
 今回はマグマ大使(昭和41年 ピープロ フジテレビ)をば
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 日本で最初のカラーの特撮ヒーロー物にしてピープロ初のテレビシリーズものでもあります。

 実は本作に関しては本放送当時の記憶はほとんどなく実質的な初見は昭和48年頃の再放送によってです。そのせいかテロップ付きのEDなんかも覚えておらず先日リリースのDVDで初めてまみえたものです。
 OPの冒頭ジャングルをのし歩く恐竜のシークエンスから始まり、実写キャラとしては非常にアクの強い面構えのゴアのどアップ!

 「私の名はゴア、地球の征服者だ!」

 初見の時はまずここで度肝を抜かれました。

 続いてビル街に迫るゴアの円盤に砲撃する軍隊の砲弾が次々に跳ね返され、反重力光線で舞い上がるビルの破片や車。
 この辺りの「実写ともアニメともつかない独特な画面の異様さ」!
 そして「マグマたいし~!」の叫びと共に少年が笛を吹くと次の瞬間青空に上昇する金色のロケットの絵と共に始まるテーマ曲!

 ここまででわずか20秒ほどなのですが本作の特徴的な部分の全てが凝縮されています。
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 予算と技術面の問題からミニチュア特撮では困難なところを写実的な絵を用いたアニメで処理、漫画的なキャラクターを違和感なく作劇に引き込む造形の見事さ!
 そして子供が主人公なのにそれを不自然に感じさせない演出力!

 これだけ揃えば傑作ができたも同然といえます。

 宇宙の数々の星を支配下に収め遂に地球に目をつけた宇宙の帝王ゴア
 それに対抗するは人類創生の神、アースによって生み出された「ロケット人間」のマグマ、モル、ガムの一家だった。

 ゴアの繰り出す怪獣たちに人間の友人、村上マモル一家と共にマグマの戦いが始まる。

 こう書くとかなり荒唐無稽な設定とストーリーなのですが実際に見て行くとゴアの作戦は毎回破天荒かつ狡猾なもので、不思議なリアル感と怖さを感じさせます。
 (例えば金属やコンクリートを食い荒らす宇宙昆虫の群体、音波や電波を怪獣に吸収させて社会の混乱を煽る、人間を媒介に感染する宇宙細菌をばら撒くなど)

 よく見るとこれらの作戦の殆どは、後に仮面ライダーのショッカーが使う手口に共通した身近さと怖さがあるのですが、描写の怖さは段違いにこちらの方が怖いのです。
 それらに対抗するアースとマグマ、人類の作戦も試行錯誤の積み重ねで徐々に相手に拮抗して行くという描写が見事でした。初期の話では人類は独自の防衛組織すら持っていなかったのですから尚更です。
 実はこうした構成は本作の作風というだけではなくやむを得ない事情も絡んでいました。
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 初のカラー作品とはいえ新興プロダクションのテレビシリーズゆえの低予算が祟り、ウルトラマンのように毎回新怪獣やそれに対応したミニチュアセットが組めなかったため「一匹の怪獣で4話持たせなければならなかった」のです。

 また劇場映画ではないので連続もののストーリーで普通の怪獣の描写だけで持たせることが困難だった事もあり「悪の親玉の手下」という立ち位置のもと頭脳戦はボスに任せて自分は無心に暴れまわる(笑)構成になってしまったわけです。

 しかし、だからこそある部分でウルトラシリーズを凌ぐ重厚さと大河性を併せ持った傑作シリーズになり得たのですから凄い。
 それは怪獣だけにとどまらず、4話を持たせる予算配分ゆえかウルトラシリーズよりもはるかに豪華な印象を持ったミニチュアセットが用意されていました。しかもその大半が「実在の建物や風景のモデル化」なのですからおどろかされます。
 後に本作は高視聴率による予算追加があったのか後半で防衛組織が登場したり新怪獣が2回に一体出せる様になったのですが、不思議なことに面白いのは圧倒的に4話構成だった前半の方なのです。

 仮面ライダーやレスキューポリスなんかもそうですが日本の特撮ヒーローは実製作でのトラブルや逆境を逆手にとってヒットさせるのがうまい気がします。

 そうした大河性によってもたらされたのが本作独特のヒューマニティ。

 「マグマよ、人間の命は地球より尊い。お前は多数の人たちを救うためには1人の人間が犠牲になってもいいというのか?」

 ある回のこのアースの言葉に象徴される様に時として身近でありながら重いテーマ性が提起されたり、同じ神によって創造されたがゆえに人間と同じ様に悩むことを宿命づけられたマグマ達のキャラクターの機微が作品にひときわの輝きを追加しているのも見逃せません。
(上記のセリフ、人類創生の神様でもないとなかなか言えません)

 今思えば本作は人気の面で言っても特撮ヒーロー史上に残る大傑作でありながら「後にも先にも似た立ち位置の作品が存在しない」という特異な地位を占めます。

 ウルトラやライダー、戦隊の様なシリーズ化もなく続編やスピンオフすら存在しない。
 当のピープロですら最後までマグマを超える完成度の作品は作れませんでした。
 それは本作が上述の様々な条件や幸運に支えられた「オンリーワン」だった事の証左だったと思えます。



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コメント

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No title

後の特撮やアニメに繋がる要素が多いですね、マグマ大使は。ただ手塚治虫原作だけあってヒロインがどこかエロいというか官能的というか。手塚治虫本人は石ノ森章太郎に嫉妬した事はあるそうですが、その弟子の永井豪やうしお社長はむしろ応援していたというのが。それにショッカーを始め、ライダーの敵は姿隠してテロ行為してますけどゴアはその必要ないから大規模なテロができるのも違いだと思います。石ノ森章太郎はヒーローの孤独さを出す為に社会に訴えても信じてもらえず、理解もしてもらえないパターンが多いですが、永井豪と手塚治虫は人間側に協力者がいるパターンも多い為、敵が大規模なテロリストになるのも当たり前かも。だってヒーローと人間が協力しないと容赦なく死ぬ訳ですから。

昭和48年

 昭和48年と言う事は東京地区と変わらない~または今のMXとTVKの様な時間差放送w
確かマグマ大使は昭和48年の春先、3月末から5月頃に放送されていました多分平日連続の放送で東京12チャンネルでした。
この年の夏は魔神バンダーが再放送され多分地上波では最後だったかと思います。
前年のQ再放送同様に48年夏のバンダー再放送知らない見逃していた人も多いと聞きます。
さて光山市交通局さんも書いている様に4話完結が初期のマグマで確かに子ども相手にすると少し話が長い物語で語られる科学的
根拠や自然界の法則etcと1回見逃すと話が分からない・・・視聴者層を上にする案だったのか。
それとマグマは当時の日本の姿が、これでもか!と言うほど登場して0系、新宿西口ロータリー、東大寺そして当時まだまだ幅を利か
せていたアメ車とクラウン、セドリックと車が競うように出て日本にも国産高級車があるぞ!と言わんばかり出ます。
当時の円谷は変な拘りがあり満田氏によると海外輸出が大前提なので日本独特の風習や撮影時の時代感が出ないように車は大写しに
しない日本的な要素がある建物も極力避けるとありましたが実際にはゴメスの回でも寺院そして古文書キーとなり車も30系セドや
スカイライン初代、ウルトラマンに於いては登場間もない130系セドと意外と時代感や日本的な場面もあります。
ところで先日の散歩する惑星で東京タワーが実写で出ましたが第一期ウルトラで明確な東京タワー実写が出たのは、この回だけでQ
は模型、ケムールの回では夜景的に映るシーンもありますが・・・
ウルトラマンは空撮で少し出るだけで意外と初期の円谷怪獣物で意外と実写が少なかったアイテムです。

Re: 昭和48年

>星川航空整備部 さん

 1話4回の展開についてこさせるためにより上の視聴者層を狙うというのはあったかもしれませんね。子供には結構ダークな演出も多かったですから。
 でも、当時の子供だった私などから見てもかなり引き込まれる展開だったのも確かだと思います。

 思い出しましたが、マグマ~の終盤では車両協力が三菱になったのか、デボネアの登場頻度が増えていますね。
 国際スクランブル隊の車両も410ブルーバードから突然コルト1100に切り替わっていますし。  

No title

手塚治虫原作の実写ヒーローは、珍しいですね。後例にもれず、マグマ大使の奥さんのモルがエロい分手塚治虫は本当スケベだと思いますね。それと前半が4話完結は珍しいですね、例に出すと1話に怪獣が出て、2話で戦って、3話で引き分けて、4話で決着でしょうか。ウルトラマンネクサスの前半4話完結がかったるいと言われたのと対照的ですね。

カレンがオタクだから出来るネタ。怒らないでくださいね。

追記、あマグマ大使が金髪なので、ネタやりたいと思います。カレン「どうですかシノ、これがマグマ大使でーす」シノ「マグマさん、綺麗な金髪ですねーはあはあ」アリス「シノダメー。」

Re: カレンがオタクだから出来るネタ。怒らないでくださいね。

> 光になれ さん

 本文と併せてお返事させて頂きます。
 「マグマ」の当時は映画界の斜陽とテレビ映画の黎明期が重なっていた為映画会社から多くのスタッフがテレビに流れ込んできた時期に当たります(実は仮面ライダーも当初はそうしたあぶれ組のスタッフの救済処置のひとつという性格がありました)
 
 そのため4回1話完結の形式も2時間前後の長尺物の感覚に近い感じで作れたという面もあったかもしれません。
 逆に最近のスタッフはテレビ慣れしていてその辺りの呼吸が呑み込み切れない所もあるかもしれないですね。

 「金髪同盟」ネタ
 実は「特撮物の金髪」という題材を兼ねて温めていました(笑)
 近日中に上げるつもりです。
 きんいろモザイクを実写でやったらどういう事態になるかのケーススタディとして役に立つかもしれません。

 (実は先日実写の「弱虫ペダル」で「実写で緑のロン毛のアンちゃんを出したらどういう事態になるか」を実感したばかりなので)