思いでの大百科シリーズ23 「悪役ヒーロー大百科」

 帰省で見つけた大百科シリーズネタから。
 今回取り上げるのは「悪役ヒーロー大百科」です。

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 本書は第1期ウルトラシリーズの辺りから昭和60年までの特撮物の悪役・敵役キャラクターに焦点を絞って俯瞰した一冊です。

 とはいえ主体となっているのは出版当時特撮物のメインストリームだったメタルヒーローと戦隊でして、放映中だったジャスピオンとチェンジマンの前後の作品の比率が高くなっています。

 実際、この前後の時期は「ボルテス」「ダイモス」などのドラマチカルアニメを経験したスタッフがデザインや設定でアニメ的な表現を特撮物に持ち込んだ時期と重なっているため悪役と言えどもデザイン面での洗練と、キャラクターに悲劇性を持たせたり、人間臭さを前面に押し出したものが増え、それが特撮物の中で東映ヒーロー物だけが独走する原動力のひとつになっていました。

 更にこれもアニメの影響と思いますが敵組織内に必ずコメディリリーフ的な三枚目悪役がレギュラーで設定される様になり、陰惨な印象の回避を図ると同時にヒーローチームに拮抗し得る組織の厚みを得ることにもいち早く成功しました。

 ヒーロー物が質的に向上するには、魅力的な敵役の存在が不可欠であるだけにこうした進化は必然だったとも言えます。逆に他社作品の殆どは「インパクトだけ重視のデザインとびっくり箱みたいな武器が優先された1話完結の使い捨て的なクリーチャーとそれのおまけ的な扱いの黒幕」という、敵役としては陳腐な状態からなかなか抜け出せず特に50年代後半から徐々に差を広げられていきます。

 本書の内容自体はヒーローとの戦いをプロレスまがいの実況中継で描写したり、悪の組織の組織図をつけるなどいろいろな形で特撮ヒーローものの悪役の魅力を語っていますが、全体にそうした当時の東映ヒーロー物の勢いが誌面を通して透けて見える気がします。

 本書の口絵には悪役キャラの立場からヒーローをDisるキャプションが付いていてなかなかに斬新でしたが、スタッフもノッて書いていたのではないかと想像されて楽しかったりします。


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コメント

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悪役ヒロー

 こんなマニアックな大百科があったとは!
意外と70年代のアニメ(古くは60年代)にもありました。
代表格は・・・ライディーンのプリンスシャーキン!
あの市川治さんの声が爆発するほど印象的なんですよねw
正直~主人公の声をあてた神谷明氏より何故かヒロー的なんですよね!
私の周りにいる同世代の女性にも市川氏の声+キャラは人気が高く共通してライディーンの事を話します。
まあライディーンは設定も独特で古代史をモチーフとしたSFアニメの代表格とも言えます。
72年のトリトンも古代史が絡みますがSFと言うよりはオカルト+少年漫画と言った感です。
実写だとメタルダーのゴッドネロス!
スピルバンの後番組で初回に上原謙が出て特撮度全開といった構成で青年実業家?で美人秘書を雇っているネロスが実は第二次大戦で暗躍した旧海軍のスパイと言う設定は絶句の一言。
ただ本作は打ち切られた形で終了し余り話題とならず前作スピルバンが中版からヒロインがヒローを救う形になった展開に比べると今一弱かったのかと。
ところでTVKセブンはザンパ星人の回ですw
これもMJの影響強しの回です。


No title

ライデイーンからダイモスまでは、ゲームで知った世代も多いですがそれをひとまとめにして見事な後日談にしシャーキンの弟の娘にしてもう一人のあきらが主人公のゴッドバードと言う長谷川裕一が描いた続編コミカライズもあります。アニメ本編を観ていない自分ですら、話の造り方は見事だと思います。おまけに本人らは当時そのままで今のあきらと接してるんだから70年代と00年代の価値観の違いも分かって面白い。ケイブンシャの大百科はこういう悪役を取り扱った本も出してましたね。ゴッドバードとは正反対にコミカライズとは名ばかりの二次創作になってしまった仮面ライダーSPIRITSは、1部の時点で魅力のある仇役出せない時点でコケると思いました。

No title

>星川航空整備部 さん

 70年代終わりから80年代初頭は特にメカアニメで美形悪役がブームでしたね。
 あの前後の時期はメカアニメファンの男女比率が逆転し、ボルテスの頃なんかは番組終了に際して「ボルテスの代わりにザンボット3をやめよう!」なんて今では考えられない様な女子高生の投書がサンライズに届いた事もあったとか(笑)

 ですがそれらのテイストはボルテスやダイモスを担当していたプロデューサー(元々東映本社の実写畑)やデザイナー(特撮ファン)などが戦隊シリーズに異動して以降、特撮ヒーロー物の作劇に大きな影響を与えて現在に至っていますね。最近はこの点があまり顧みられる事もなくなっているようですがもっと語られても良い様な気がします。

 ザンパ星人の回、MXで先に観ましたがシラハマ隊員役の鶴賀次郎氏ばかりに目が行ってしまって困ります(怪奇大作戦の「散歩する首」の犯人役そのまんまの演技でしたから)

No title

>光になれ さん

 コンバトラーV~ダルタニアスまでの東映(サンライズ)ロボットアニメの「美形ドラマチカル悪役」は後の東映戦隊やメタルヒーローの悪役に大きな影響を与えましたね。
 本家のサンライズがシャア・アズナブルに代表される独特の人間臭さを押し出した方向とは異なり舞台劇を思わせる、外連味たっぷりな演出を組み合わせる事で独自の方向性を作るのに成功したと思います。

 今回の本は掲載がチェンジマンまでだったので取り上げなかったのですが、上記の最初の成果と言えるのが翌年の「超新星フラッシュマン」の後半に登場する中田譲二氏扮するサー・カウラーでした。特撮ヒーロー物でこれほど女性ファンが付いた悪役と言うのはありませんでしたから(当時の少女漫画誌を見ると必ずひとつふたつは「サーカウラーネタ」が載っていたものですw)

 余談ですがシャーキンからクロッペンまで一連の美形悪役を演じた市川治氏、その3年くらい前に「仮面ライダーの代役」も演じていましたね。

No title

市川治さんは、東映チャンネルで見た仮面ライダーストロンガーの鋼鉄参謀もいいですね。