思いでの昭和ヒーローから「人造人間キカイダー」

昭和40年代後半の小学館の学習雑誌はウルトラシリーズ一色の様相でした。それまでウルトラが講談社系の雑誌のメインプログラムで小学館は怪奇大作戦やマイティジャックなどを押さえていた物の今ひとつパッとしなかったのが帰ってきたウルトラマン以降はヒーロー系に力を入れ始めミラーマンやシルバー仮面なども押さえて自社の雑誌の誌面を飾っていたものです。
 対して講談社系はウルトラに並ぶヒットシリーズとなる「仮面ライダー」をメインコンテンツに「変身忍者嵐」「超人バロム1」などで応戦。
 昭和47年の初め頃は「円谷は小学館系、東映は講談社系」と言うイメージが出来上がってきつつありました。

 私などは当時「小学●年生」を毎月定期購読していましたからある程度「ウルトラ党」に染め上げられていた感じがあります。
 そのカラーが変わり始めたのが昭和47年の夏です。
DSCN9782.jpg

 ある日「小学●年生」を読んでいた私の目に飛び込んできたのは「顔の半分が機械丸出しのアンドロイド」と言う怪人の姿。
 そしてどう見ても石森章太郎系のキャラクターの並びという斬新な予告ページでした。
 ギターを抱え、サングラスを掛けた青年の脇には「ジロー」と言うキャプションがありましたが番組のタイトルは「ゼロダイバー」だったと記憶しています。

 それまで円谷の巨大ヒーローばかりだった小学館の学習雑誌の中にあって仮面ライダー系の等身大ヒーローの登場はなかなかに新鮮でした。
 (とはいえ学習雑誌では一足お先に「快傑ライオン丸」と言うヒット作が出ているのですが)

 という訳でひさしぶりの昭和ヒーローネタは「人造人間キカイダー」(昭和47年 東映 NET)です。

 ほどなくして始まった「キカイダー」ですが仮面ライダーがヒーロー物の文法を守りつつも悪の組織に改造された青年の悲哀をどこかに感じさせていたのを受けてか主人公はメカでできた人造人間。
 しかも彼を作った博士は記憶喪失で行方不明、人造人間特有の「人の理性を機械化した良心回路」は不完全で敵にしばしばその弱点を突かれるという何から何まで暗い設定でした。
 その出自ゆえに主人公のジローはほぼ孤立無援。博士の子どもたちを守りながら博士を探す旅を続ける様は当時テレビで流行の「ハードボイルド系股旅物」をかなり意識させるものでした。
DSCN9783.jpg

 このハードさは元々ヒーロー物としてはごく異例の「土曜夜8時台」と言う放映時間も影響していそうです(そういえばキカイダーとカップリングしていた「デビルマン」もこれまた暗い作風でした)
 キー局はまだそれでよかったのですが私の故郷では「キカイダー」の放映は日曜朝10時半。さわやかな休日の朝をいきなりブルーに突き落す悪しき番組でもありました(笑)
 (因みに前枠の朝10時は「変身忍者嵐」だったりしますから昭和47年にして岩手のニチアサは「スーパーヒーロータイム」状態だった訳です。翌年はもっと凄い事になりますがw)

 前半こそ1話完結を基本にそこそこヒーロー物らしいのですが、ハカイダーの登場前後からストーリーは連続ものの体裁に移行し始め、ジローは無実の罪で指名手配されるわ博士の脳みそはハカイダーに移植されてしまうわと、これでもかとばかりに追い詰められてゆきます。
 ラスト寸前の回ではキカイダー自身がバラバラになってしまうという驚愕の展開にまで!!。

 それでも最終回では敵組織が壊滅し平和が戻ったものの、完全な人間の心をもとめてジローが旅立つラストにはなるのですが、原作の持っていた人造人間の業の哀しさの表現の点では今ひとつだった気がします。
 (実際、このラストには製作側の都合も多分にあったと思いますが)

 仮面ライダーが人間の感性を持った改造人間と言うコンセプトのもとに市井の人間の日常が断ち切られる悲哀を描いたなら、キカイダーのそれは生まれながらに人間であって人間でない宿命を背負った異形の悲しみが背景にあると思います。
 この辺り、当時の東映変身ヒーローもの全般が大なり小なり持っていた情念と言うか怨念みたいなものがキカイダーでは特に強く感じられます。

 実際キカイダーについて書き始めたらハカイダーの魅力とアイデンティティのはなしやら、プロフェッサーギルをはじめとする人間側の業やら書くことが山ほど出てきてしまうのですがそういうはなしは他にもっといいサイトがいくつもありそうなので今回は割愛します。

 更に余談
 前にも書きましたが故郷ではキカイダーの裏番組に快傑ライオン丸が入っていたのですがハカイダーの登場とほぼ同時期にこっちでもタイガージョーが登場、やはりこの時期の獅子丸はひたすら悩みまくる展開でした。
 さわやかな日曜朝にヒーロー鬱合戦という物凄い事になります。おまけに変身忍者嵐までもが嵐と月の輪の死と復活と言う流れになったりして。
 そのせいか夜7時に観るアイアンキングが妙にさわやかに感じられたものです。

 もっと余談
 今さっき気が付いたのですが、当時の東映ヒーロー物で仮面ライダー、バロム1、嵐、ロボット刑事が講談社、キカイダー、イナズマン、ゴレンジャーが小学館のコンテンツでしたがよくみたらこの区分「主題歌の作曲者の区分」にもなっていますね
 (前者が菊池俊輔、後者は渡辺宙明)この区分けがあいまいになるのは50年秋のアクマイザー3以降となります。

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コメント

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昭和47年

 ついに昭和47年へw
我々も乗り物&怪獣少年で輝いていた?黄金の時代です(強調)。
前年のスペクトルマン、帰マン、仮面ライダーが起爆剤となり昭和47年は百鬼夜行レベル以上の特撮年で、とにかくチャンネルを回せば
毎日、何かしらのヒロー、怪獣、スーパーメカが見られる!
高度成長期の産物としか!
ただし絶頂へ達すれば後は降下する~翌48年は、このパターンでした。
しかしキカイダーが朝の10時半とは日曜日の昼までTV釘づけ状態・・・なんか今の特撮物のパターンに近い?
私は土曜の8時で観た派で当時は子供番組が夜8時と言う事で違和感がありました。
特に土曜8時は誰が何を言おうと全員集合♪でしたからw
で私も変わっていて?キカイダーとデビルマンの間にチャンネルを変えると・・・全員集合は夏休み直前と言う事で学校コントの回
でした。
前にコメしたセブン/盗まれたウルトラアイは・・・の続きはホーク3号の格納庫内で下部のアップシーンが出る所に動いている
トラックミニチュアで実は私~持って居るんですよw
と言うか、そのミニチュアは当時市販されていた弾み車で動くチープトイで赤いプラスチックボディーの郵便車でセブンに出て来た
物はポインター色に塗り替えて後部のブリキ幌を取って改造したと思われます。
ただ本当にチープトイなので私が持っている物も幌は既に無く運転台下のフリクション部分は失われています。
ポインター色に塗り替えるかwww
所で先日、007は2度死ぬがBSで放送されましたが観ましたか。
今回は多少短縮版に近い感じでしたが今までカットされていたシーンが幾つか観られました。
デジタルリマスターのおかげで都電8000系がクリアに見えましたよネ。
ここで私の突っ込みをww
コネリーが火口が金属だ!と言うシーンそして丹波部隊wが攻撃をかけると遠隔操作の迫撃砲、M1919の一斉射撃があるのに最初に
コネリーが発見した時は銃器は火を吐かなかった(コネリーくん見事にクレータの上に居るのにw)
あと2度死ぬは前年に東宝が製作した大冒険のカーチェイスと被るシーンもあり撮影地も一部重複している様に見受けられます。
2度死ぬは意外とサンダーバードの影響が随所に見られスタッフが被って居る点も同様w
さらにクレーター基地での警戒放送を言語で聞くと日本語なんですね・・・例えば、作業員待避!コネリーの正体がバレた時は、
彼を連れて来なさい!と大抵の作品だと、こんな所は英語でまんまですが。
例によって大脱線失礼しました!

No title

キカイダーとデビルマンが同じ日に放送してたのは本当だったんですね。ただテレビ版は旅に出る、または戦いは終わらないだったのに漫画版はどちらも救いの無い終わり方ですね。内容は、書かれてるのでもう言いませんがキカイダーのモデルが人体模型の機械版だと言われて妙に納得しました。

No title

>星川航空整備部さん

 あの頃は民放二局地域だった岩手でも「夜7時台にヒーロー物が複数観られた」という信じられない時期でした。
 「夜8時のキカイダー」は後になって観る機会がありましたから、その時間帯の異様さが印象に残ります。

「007は二度死ぬ」~観たどころかビデオに録って今週だけで3回は観たでしょうか(爆笑)
 丹波哲郎が吹き替えだったのはやはり違和感がありますね。メインブログで先日GMの営団500を作った話を書きましたが、そのうちの1両を「タイガー田中仕様」に改造する事を思いついたので観返す羽目になっているのですが。
 ですがあの電車(ビジネスカー)深夜の間合いならともかく通勤時間帯とかに走っていたら却って目立つ事夥しい気もしますが。
 それ以前にどう見ても都心から数十キロは離れていそうなタイガー田中邸まで第3軌条の線路を敷いてあるのかと思うと結構笑えます。

 あと副音声の日本語棒読みも聴きどころですね。

 「二度死ぬ」のスペクター基地のレーダー画面のプロップが後にSHADOのレーダーに転用されていたというのは最近知りましたが「なぜロンドン近郊の基地に日本列島のレーダーが?」と言う長年の謎が解けました(笑)

No title

>光になれさん

 NET土曜夜8時台は「魔獣怪人大変身!」と言う物凄いシリーズ名が付いていたようですね。大体、その前の7時半に仮面ライダーV3、48年後半は7時からジャンボーグAが時間移動していた筈なので土曜夜は10チャンネルだけで4本、裏の風雲ライオン丸も入れて5本の変身物が掛かっていた事になります。これに6チャンネルのど根性ガエル、4チャンネルの冒険コロボックルが加わっていたのですから土曜夜はまんがまつりでしたね。

 因みに8時から8時半まではキカイダー、キカイダー01が8時半からはデビルマン、ミクロイドS、キューティーハニーの順で放映されていました。アニメの方は元々8時55分からニュースが入る関係で25分枠だったのですが、岩手を含む田舎の県では夕方の30分枠での放映だったので、そのためにOP、EDがフルコーラスに近いロングバージョンだったり予告編が異様に長かったりしています。
 (おかげで当時は大都市圏のファンが相当羨ましがったそうです)

 時間帯は違いますが後にジーグ、ガ・キーン、バラタックなどのマグネロボシリーズもキー局ではニュースが他局より5分早い開始だった為、同様の処置が取られました。