FC2ブログ

思いで(?)の昭和ヒーローから「実写版鉄人28号」

 先日このブログで紹介した「鉄人トーバー」

 ロボットやプロップのデザインとか演出なんかに50年代のテイストを強く感じたのですが「そういえばこれと大体同じ時期に日本でもロボット物をやっていた」のを思い出しました。
 この間、CSの「甦るテレビヒーロー」でも第1話と最終話が放映されました「実写の鉄人28号」(昭和35年 松崎プロ 日本テレビ)がそれです。
 なにしろ本作の本放送当時私はまだ生まれていないので当然リアルタイム視聴なんてできませんでしたし(そもそも、故郷で放映されたかも疑わしい)初見は21世紀に入ってからなので「思い出の昭和ヒーロー」というのには若干苦しい物があります(汗)


 鉄人28号と言うと昭和38年のアニメ版が最も有名且つ人気があり、以後もほぼ10年前後のスパンで続編やリメイクが作られているロボットマンガの傑作なのは言うまでもありません。
 ですが最初のテレビ化はアニメの3年前の実写版でした。
 この作品は10年以上前にVHSのビデオで最初の数話を観た事があったのですが、先日観た「鉄人トーバー」と時期、題材的に重なる所が多い作品と思います。
 ですが、それでいて相違点も多くそれがそのままアメリカと日本のロボットに対するセンスの違いにもなっている気がします。

 最初のストーリーはこんな感じです。

 第二次大戦末期に旧日本軍が開発したロボット兵器。1号から27号までの試作はすべて失敗に終わったが28番目のロボットは所定以上の性能を上げる事に成功した。
 しかし戦争の終結とともにロボットは行方不明になり、10年以上の月日が流れる。

 或る夜、日立市の街に謎の怪ロボットが出現!それはパトカーを破壊し警官隊の銃弾も受け付けないまま日立の工場に潜入、そこにあったトランジスターの試作品を奪おうとする。
 そこに駆け付けた警視庁の大塚警部と少年探偵の金田正太郎。先にトランジスターの奪取に潜入していた強盗団の村雨兄弟やロボットを操る謎の覆面の男までもが絡み事件の謎は深まるのであった…


 ここに出てくる「怪ロボット」が鉄人28号なのは言うまでもありません(笑)

 アニメ版と異なり本作では初期の原作に忠実に鉄人28号の出自と争奪戦をストーリーの中心に据えています。
 そのためサスペンスが話の中心になっておりヒーローロボット物としての爽快感に欠ける展開なのが特徴だったりします。
 途中からは鉄人の横取りを狙う某国スパイ組織とか国際ギャング団みたいなのも登場、サスペンス性はとても高いものになってはいます。

 ですが画面的に萎えるのは「鉄人そのものの描写と造形」これがまた予算や製作時期の差を考えても物凄い。
DSCN9999b (1)

 原作やアニメでは一応巨大ロボットとなっている鉄人ですが本作のそれは等身大。
 当然縫いぐるみでの表現なのですがプロポーションがあまりにも鉄人離れしているので予備知識なしに見ると「鉄人28号ではない何か別のロボット」に見えてしまいます。
 おまけに本作の鉄人は「最終回になってロケットを装着」がクライマックスなので「最終回までまったく飛べません」

 つまり、夜のビル街を背景に出現する鉄人28号は「等身大のおくるみが人間よりも遅いスピードでのったらのったら歩いてくる」という何というかおまぬけな描写なのです。
 歩行も仕草もスローリーな事夥しい。

 冒頭に登場して鉄人初登場に対峙するただの酔っ払いのおっさんもただ驚いているだけであっさりやられます。
 続いて出てくるパトカーなんかは「そのままバックしても逃げられそうなものなのに鉄人が来るのをのんびり待っていた挙句に破壊される(その間車内の警官はただ絶叫しているだけ)」
DSCN9999b (4)
DSCN9999b (2)

 工場に来た鉄人の前には50人近い警官隊が待ち構えているのですが「散開もせずに一塊になって鉄人の動きに合わせて後じさりするだけ」
 この鉄人の唯一の武器らしい「胸のストロボライト」を眩しがるのがほぼ唯一の見せ場らしいです(笑)

 何と言いますか間抜けさを感じさせる鉄人の造形とスローさに合わせて人間側が「もっと間抜けな動きを強いられている」様な演出です。
 因みにこの場面に出てくる警官はエキストラだけでなく本物の警察官も多数参加していたそうですが彼らの心中は如何。

 日立の工場が登場する事からもわかる様に本作は日立の一社提供で、ロケ地の提供でもかなりのバックアップがあった事が画面からも読み取れます。
DSCN9999b (3)

 鉄人製造工場も本物の日立のそれらしく、回想シーンでは「クレーンに吊られて工場内を移動する鉄人28号」の描写まで登場するのですが本物の工場内のリアル(当たり前か)さと鉄人のおくるみ造形との落差が物凄い事になっています。と、まあ演出と造形は今観ても全編におまぬけさが漂っているのですがストーリー自体は原作準拠で割合しっかりしたもので金田正太郎少年も良く活躍しています。
(但しそれはあくまで「少年探偵としてですが」)
 それだけにストーリーと造形の二つの要素の乖離がひどい事が本作の弱点でした。

 おまけに原作準拠ゆえか、13話で打ち切られた時の最終回は「鉄人は敵のスパイ団の手中のまま、ロケットを装着して初飛行」「囚われの身から敵のアジトを脱出した金田正太郎は呆然とそれを眺めているだけ」で終わってしまっています。
 結局この実写版では金田正太郎は「鉄人の操縦者」にはなれずじまいだった様で、これまで見た特撮ヒーロー物のどれよりも後味の悪い消化不良感の強い最終回でした。

 同じような背格好と似たようなデザインでありながらトーバーは「人間の意志をくみ取り半ば自律的に行動できる(だからジープを自分で運転できる)」のが特徴なのに対し鉄人は「操縦機で遠隔操作、操縦機が敵の手に渡れば直ちに主人公の敵になる」無性格さが特徴になっています。
 この辺りにロボットに対する彼我の感覚の違いが象徴されている気がします。
 演出や造形の差を除いてもトーバーと鉄人の異質さは結構大きいのではないかと言うのが個人的な感想です。

 さて、実は同じ制作会社では鉄人同様に「鉄腕アトム」も実写化して放映しているのですがこれについては次の機会にでも。

 完全な余談
 今から30年以上昔のはなしなのですが、私の故郷でも「同人誌即売会」なんてイベントが行われていた事があります(確か地元の大学の漫研とアニメサークルが主催だったかな)
 何しろ会場は「地元デパートの7階」だったのですからその異様さは今から見ても想像を絶しますが。

 で、当時学生だった私も悪友たちに誘われて物珍しさに覗いたのですが他の連中が「ミンキーモモ」かなんかの同人を買いあさっている脇で、私だけが「80年版辺りまでの歴代の鉄人28号」のそれを買ってしまったという苦い思い出があります(爆笑)
 もちろん、今回の実写版も取り上げられていたのですがこれを読んだ当時はもっとカッコいい内容を想像したものでした。
 その同人誌、今でも実家のどこかに眠っている筈です(笑)


にほんブログ村


にほんブログ村

にほんブログ村 映画ブログ SF映画へ
にほんブログ村

にほんブログ村 コレクションブログ ミニカーへ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

手を握れ正義の味方、叩きつぶせ悪魔の手先。敵に渡すな大事なリモコン。

私にとっての初鉄人は、鉄人28号FXなんです。同じ時期に放映していたダ、ガーンにはまれなかった事もありこっちを楽しんで見ていました。太陽の使者は名前は知っていても見た事が無い上、それ以前のモノクロ鉄人は知らないんです。最初の鉄人は敵だったなんて初めて聞きました。

No title

>光になれさん

 私がリアルタイムで観られたのは「太陽の使者~」辺りからですね。

 それ以前メカものにほとんど手を出さなかった東京ムービーが初めて挑んだ巨大ロボット物で東映ともサンライズとも異なる独特の映像描写が印象的です(何しろあの宮崎駿氏も作画に参加していました。タイトルは「恐怖の殺人合体ロボ(大爆笑)」でしたが)

 FXの方は当初のキャラデザインと実際に放映された仕様との落差が物凄かった事と、後半2クールの設定変更の落差に二重に驚かされた記憶が(笑)
 確か最終回は「少年探偵グループの表彰式で一話丸ごとつぶしていた」衝撃的なものでしたね。ただ、後半のED曲は大好きで今でも時々聴きかえします。