思いでの昭和ヒーロー・番外編「未来救助隊アスガード7」

 普段ならTVの特撮物を中心に書いている「思い出の昭和ヒーロー」ネタ
 今回は番外編です。

 昭和40年代後半の小学生がヒーロー物を雑誌で読むとすれば大概が「小学館の学習雑誌」か「冒険王」「TVマガジン」辺りの児童向け総合誌かマスコミ誌と相場が決まっていました。
 小学館の「ウルトラシリーズ」講談社や秋田書店が「ライダーシリーズ」を軸に他のヒーロー物まで巻き込んでトクサツヒーローエイジを形成していたものです。

 ですがその中にあって独自の地位を占めていたのがその手のヒーロー物にほとんど手を出さなかった学研の「科学」「学習」でした。
 「科学」は文字通り理科系の記事を中心にそれに派生した読み物や学習漫画(これが結構独特のシュールさがあって好きでしたが)「学習」は文系の記事を中心に連載小説やら時事系のネタで読者の興味を引いていたものです。
(以前からネタにしている「ジュニアチャンピオンコース」にしても「科学」「学習」の総集編的な題材が多かったですね)

 ですがヒーローブームやアニメブームが無視できなくなったのか、ある時期からオリジナルのヒーロー物や探偵ものの連載が登場して誌面を飾る事になります。それもよく見ると結構豪華な執筆者の布陣で。
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 今回紹介するのは昭和49年から50年頃にかけて「科学」で連載されていた「未来救助隊 アスガード7」です。

 本作は原作が石ノ森章太郎。各学年ごとに細井雄二、山田ゴロ、すがやみつるなどの面々が作画を受け持つ形で連載が進められていました(たしか1年の科学が御大石ノ森氏が、5年が細井雄二、6年がすがやみつるだったと記憶しています)

 地球の自然と生態系を守るための組織である未来救助隊の7人のメンバーが地球の自然の破壊を目論む謎の組織ガオス(GAOS)と戦うというのがストーリーのアウトラインですが、その中で各学年向けの科学の課題がストーリーに織り込まれ「ヒーロー系戦闘学習漫画」の体裁となっている所が学研らしいといえます。
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 メンバーは主人公がミクロ化能力を持つ「研マナブ」(ネーミングは「学研」のもじりw)同じ能力を持つヒロインの「ロミ・オハラ」を筆頭に両腕から翼を生やした文字通りの鳥人の「ハヤブサ」、カミキリムシの頭を持つ戦闘のプロ「キリギリキッド」、カメレオンの能力を持ち、何にでも化ける「ニンジャー」、水中戦に強いげっ歯類系のマスコットキャラ「バービー」、そしてどこから見ても「品行方正なハカイダーにしか見えない」デザインのブレインキャラ「マシンマン」という面々が揃います。

 この設定を見ると明らかに「ゴレンジャー」の影響が濃厚なように見えるのですが実は本作の連載開始はゴレンジャーの前年。
 それ以前の代表作である「サイボーグ009」とキャラクターのシフトが酷似している点から考えても009と戦隊シリーズとをつなぐミッシングリンク的な存在ではないかと思います。

 執筆陣も普段「TVマガジン」や「冒険王」なんかで特撮ヒーロー物のコミカライズを受け持っていただけにヒーロー物として違和感が無く、この手の学習漫画のお約束の「科学のお勉強コーナー」もそれなりにうまく取り込まれていました。

 私が読んでいたのは細井雄二氏の描いていたバージョンでしたが、連載3回目にして「研マナブが敵の襲撃で重傷を負い、そのまま翌月も欠場」なんて展開に仰天したのを覚えています。後編などは「主役不在のまま残りのメンバーがガオスの襲撃に防戦するだけ」というTVのコミカライズだったらハラハラ物の展開です。また、御大石ノ森氏の作も一度見た事がありますがこちらはこちらで「ロミとバービーが紅葉の森を散歩しているだけでストーリーの大半が展開。ラストに申し訳程度にガオスの植物兵器が登場してマシンマンが口から吹く火炎で処分される」というこれまた主役不在の展開だったりします。

 オリジナルの集団ヒーローという事もあってTVシリーズではなかなかやらない事ができたという意味でも本作の異色さは印象に残ります(ですが登場する敵の幹部や戦闘員が「イナズマン」や「キカイダー01」の怪人によく似ていたのがご愛嬌ですが)

 本作はごく最近すがやみつるバージョンのものが復刻され比較的手軽に読める様になっています。こちらはこちらでいかにもすがや氏らしいヒーロー物のツボを押さえた展開(毎回きちんとヒーローのピンチが設定されカタルシス感も高い)で楽しめました。

 ですが他の作家の仕様もまとめて読んでみたいと思うのも確かです。何とか出てくれない物でしょうか?


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コメント

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No title

学習漫画というと、冒険や探検もしくは観察、研究といった場合の物が多いですが、こういうタイプの学習漫画は珍しいと思います。すがやみつるさんは知らないですが細井雄二さんは当時コミックボンボン版餓狼伝説通称ボンボン餓狼を連載していたのを読んでいたので懐かしいです。そういえば最近学習漫画ブームがネットで起こっていて、瞬く間に増刷しているとか。メデイアワークスや芳分社、双葉社、一迅社で働いてる作家も書いているのが驚きです。

No title

>光になれさん

 学研の科学の学習漫画は同世代のかなりの人の目に触れているので隠れファンが非常に多いジャンルです。
 学習漫画という言葉から連想される説教臭さが希薄で普通に漫画として読めるのが魅力ですね。

 特に内山安二氏は長期にわたって科学を中心に執筆されていて後にあさりよしとお氏が「まんがサイエンス」を書くきっかけとなった学習漫画の大御所でした。
 中には「チックンタックン」の様にテレビアニメ化されているのもありますし。

 「まいっちんぐマチコ先生」も科学では「はりきりマチコ先生」というタイトルでエロ抜き学習漫画のバージョンがありました。
 他にモンキーパンチ氏や小松崎茂氏なども科学で執筆されていた時期があります。

 細井雄二さんは私は「アスガード7」で初めて知った漫画家ですが、後に「ボルテスV」のコミカライズを経てコロコロコミックで一時期「夏場の怪談漫画」を専門に描かれていたのを読んだ事があります。

No title

シンカリオン効果もあり、ポプラ社のキップでゴーや集英社の電車で行こうシリーズが売れているそうです。前も書きましたけど、別の雑誌で漫画描いてるんですよね。学習漫画の後に売れっ子になるケースもあるみたいですね。

No title

>光になれさん

 以前は科学・学習系の漫画家がメジャーで人気が出るというケースは殆ど無かったですが、かつての読者を中心に再評価する動きは出ているようですね。私の年代だと逆に石ノ森章太郎やモンキーパンチなどがこの手の雑誌に漫画を上げる事に驚いたものです。

 更に科学・学習派生系入門書のジュニアチャンピオンコース・ユアコースなんかだとその傾向がさらに加速して横山まさみち、旭丘光志、望月三起也などのアダルト誌劇画系の作家やホラー系の古賀新一などがかなりアシッドな題材を描いていて、これはこれで凄いと思いました。