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思いでの少年ドラマから「赤外音楽」その3

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思いでの少年ドラマシリーズから
「赤外音楽」の3回目(完結)です。

 ミュータント研究所所長の指示通りに赤外音を発するキーボードを叩きつづけるメンバーたち。
 やがてメンバーの周囲でも徐々に赤外音が聞こえる人々が現れ始めました。
 最初に赤外音楽が聞こえなかった主人公の兄にもキーボードからの音声が聞こえ始めます。

 ところが、それと並行してメンバーの何人かに記憶の一時的な消失や人格の変化が起こり始めたのです。

 やがてその変調はガールフレンドにも及び、それまで快活だったのが急に人が変わったように無口で無感情になり始めます。

 そして主人公とともにミュータント研究所の謎を追っていた雑誌記者も突然謎の赤外音を聞いて卒倒。再び目覚めてからはガールフレンドと同様の反応を示しはじめてしまいます。
 そして何かに取りつかれたようになった記者は、主人公にこれ以上研究所を探る事をやめる事、いまするべき事は赤外音のキーボードを叩きつづける事だと忠告するのでした。
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(みのり書房月刊OUT3月7日号増刊「ランデヴー」27Pより画像引用)
 彼らに何が起こり始めたのか。
 やがて主人公の兄が例のキーボードを分析し、現在の地球の技術力ではこんな小型の機械が声を出せるはずがない事を知り、主人公を問い詰めます。
 全てを打ち明けようとしたその瞬間、主人公をも襲う謎の強烈な赤外音楽!割れるような頭痛に襲われた主人公もついに卒倒してしまうのでした。

 やがて目を覚ました主人公もまた、無口な離人的な反応を示し始めました。
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(アスキー出版局「NHK少年ドラマシリーズのすべて」38Pより画像引用)
 彼の前に現れたミュータント研究所の女所員。
 再びミュータント研究所に連れて行かれた主人公は所長の口から事の真相を聞かされます。

 彼らの正体は宇宙人で、軌道を外れ、太陽に突入してしまう地球から赤外音を聞き分けられる人間だけを救いだし彼らの星へ連れて行こうとする意図を語ります。

 赤外音を聞き続ける事で人間も彼らの星の人間と同じ様に体質、知力が強化され彼らの星でも生き続ける事が出来るのです。
 また、キーボードを叩きつづける事で他の人たちの持つ資質が呼びさまされ、それだけ救い出される人間を増やすことができる事も明かされます。
 すでに雑誌記者をはじめとする何人かは彼らの星に行ける事になっていましたが、それと引き換えに過去の記憶は一切が抹消され、彼らの星の人間と同様の存在となっていました。

 ミュータント研究所は大気圏外に待機していた円盤であり、所員たちは空間に自分の姿を投影して活動していたため地球上では実体を持たない存在(そのため無人のバンも外からは運転手がいる様に見えていた)でした。
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(アスキー出版局「NHK少年ドラマシリーズのすべて」38Pより画像引用)
 その事実を知らされた主人公は自分も地球を脱出すべきか悩みます。しかし事実を打ち明けられた兄は赤外音が聞こえ始めているにもかかわらず地球に残る事を宣言。ガールフレンドもそれに続きます。
 顔面いっぱいに作り笑いを浮かべ「その日が来たら好きな音楽をガンガン掛けてやるんだ!誰も文句なんか言わないんだからなあ!!」と言う兄の台詞の悲痛さが胸を打ちました。

 過去の全てを振り切ってまでして自分たちだけが生き残る事ができない事を悟った主人公も残留を決意。ミュータント研究所と袂を分かちます。
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(みのり書房月刊OUT3月7日号増刊「ランデヴー」27Pより画像引用)
 やがて地球上では様々な気象異変や災害のニュースが上がり始め、また地球を離れる円盤群の存在が報道されます。
 それらを聞き、地球の最後が迫っている事を知りながら主人公とガールフレンドの表情は明るい。
 愛する地球と運命を共にすることを改めて決意するところでこの物語は幕を閉じます。

 実は本作は少年ドラマのSFで唯一の終末ものですが、上述の様にヴィジュアル面の特異さや前半のサスペンスフルな展開と相まって不思議な印象を残しています。
(OPの画面も宇宙から見た地球のズームアップでした)それでいてラストは悲痛さとともにどこか明るさを残す。
 そんなところも私が惹かれるポイントではあるのですが。

 余談ですが佐野洋氏の手になる原作本はずっと後になってとある古本屋で購入できました。
 ところが読んでみたらミュータント研究所の正体は最後まで不明。所長の老人も何者かの操り人形に過ぎず彼らの目的が何だったのかすらわからないまま唐突に幕を閉じていました。
 終末もの的な要素はまるでなし。

 と言うか、あの原作をよくここまで膨らませたものです。
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(みのり書房月刊OUT3月7日号増刊「ランデヴー」27Pより画像引用)
 この作品で主演を演じた門間利夫氏はどこにでもいる普通の中学生と言う感じで役者らしい華に欠ける印象なのですが、そこが本作のイメージにはよく似合っていたと思います。
(余談ですが門間氏は翌年の「明日への追跡」では主人公の同級生の一人の新聞部長の役を演じていますが、本来はこういう普通の役がぴったり来ます)

 そして少年ドラマのSFへの出演はこれが唯一となった(時代劇などでは出演がありますが)天本英世氏の存在感。
 この当時ですら私たちが氏に対して持つイメージの大半は「死神博士」ばかりだったのですがこうした抑制の効いた理知的な役柄も持ち味のひとつで「レオ」や「MJ」での役柄のイメージにごく近い物があります。
 (余談ですが翌年の「宇宙鉄人キョーダイン」では東映作品では珍しく善側の博士役で準レギュラー出演されています)

 本作は個人的な思い入れもあって長文になりました。本放送のみで再放映もされなかった為少年ドラマの中でもきわめてレア度が高い作品ですが、どこからかテープが発掘されない物かと思います。

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