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流線形の誘惑・その3

 先日から突発的にスタートした「昭和初期の流線形車モデル」のはなしから

 前2回は蒸気機関車でしたが、今回は電気機関車。蒸機に比べると同じ流線形でも幾分ぼってりしたと言いますか角の取れた微妙に滑らかなデザインで親しみやすさを感じさせます。
 物はEF55。
 実車は昭和11年に3両製造されたものの、肝心の流線形による空気抵抗の軽減効果が予想よりも少なかったうえに電気機関車のくせに方向転換にターンテーブルが必要となるなどの手間がバカにならず、戦後2両が廃車。残り1両が準鐡道記念物として残され鉄道博物館で見る事ができます。 

 Nゲージモデルはワールド工芸のものです。
 聞く所ではワールドのEF55は20世紀中に3回モデルチェンジを繰り返していたそうでそれぞれサイズや動力の構造に差異があります。
 今回紹介するのは3代目に相当するモデルの様で(理由は後述)90年代の時点では唯一のEF55の量産モデルだそうです。

 しかも説明書を見る限りキットを組みたてた物らしいのですが塗装の仕上がり具合はメーカーモデルに引けを取りません。
 キットメイクとすると前ユーザーはかなりの腕のモデラーと思います。

 さて、EF55と言うと今最も入手しやすいのはマイクロエースのプラ製品という事になりますが、動力改良のタイミングで数年前にこちらのモデルも入線させています。
 当然このふたつを比較してその個性や特徴の違いを楽しめる(笑)訳です。

 
 そんな訳で早速並べて見ましたが
 「ぱっと見では見分けがつかない」位に造形のレベルが接近しています。
 ボディ周りを見る限りはこっそりふたつをとっかえてもとっさには分らないのではないでしょうか。

 これがTOMIX(あるいはKATO)と昔のエンドウ・しなのマイクロ辺りのブラスモデルとの比較だとボディ造形に歴然とした差があったのですがワールド工芸やシバサキの登場以降はその差は一気に縮まった印象です。
 一方でこれまでプラ造形モデルが苦手としてきた手すり類の別パーツ化もマイクロやKATOがかなり手を加えるようになってきましたから素材の違いによる差は随分双方が歩み寄ってきている感じもします。
 それでもよく見れば、マイクロのは肉厚のプラボディにはめ込み窓ガラスを採用しているため窓が厚ぼったい印象ですしワールドのは肉薄のボディに薄い透明プラバンを貼りつけた感じで金属らしさは出ています。
DSCN7669.jpg
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 ただ、寸法面で言えばマイクロの55の方がワールドよりも幅、長さともに微妙に大きかったのは意外でした。

 というのもワールドのEF55は初代モデルこそプロポーション重視で幅狭の小柄なボディだったのを既存動力の利用の関係から2代目になってからやや大きめに作り直されているという経緯を聞かされていたからです。
 2代目準拠の寸法のワールド製の3代目は当然大きめボディという事になりますがマイクロのは更にそれより大きい事になる訳です。

 そんな訳でボディの方の差は思いのほか少ないのですが、足回りはEF55特有の問題をクリアする手法の違いがはっきりしていて非常に興味深かったです。
 「EF55特有の問題」とは流線型ボディに極端に垂れ下がった前面スカートを先輪付の旧型電気の足回りと組み合わせた為にフロントの先輪が首を振りにくい構造になっておりNゲージの標準的なカーブ(280~315R)すらクリアできないか困難である事です。
 (ワールドのEF55が2代目でサイズアップした理由のひとつにこれがあったと思われます)

 その為に動力機構にはそれぞれの工夫がなされています。
 マイクロは第一先輪を「展示用」と「走行用」の車輪を使い分ける事で対応。展示用は普通のN車輪ですが走行用は黒のオールプラの一回り小さい車輪をはめ込み、走行中は宙に浮いた状態で対応させるという荒業を使いました。
 レンタルの様な大レイアウトで遠目で見ている分には気になりませんが、それでも相当に思いきった印象です。

 一方でワールドはボディ内に収まる動力ユニットに「平行移動装置」と称する機構を組み込みカーブではモ動力ユニットを左右動させる事で先輪が逃げるスペースを確保するやり方で対応したようです。
 この辺り実物を手に取って見ても詳しい機構がよくわかりませんが、レイアウト上で走らせる分には最急315Rのカーブは多少の抵抗こそあれどうにかクリアしました。

 動力の改造でずいぶん手間を掛けた印象ではありますが問題なく走らせるならカーブは350R以上の径が無難の様です。
 また、車体に固定されるアーノルドカプラーを使う限りは確実な連結を確保する上でも小径カーブでの使用はやめた方が良さそうです。
 (単独ではカプラー自体が首を振らないKATOカプラーでも同様)
 後部ではマイクロのデッキが後部台車とともに首を振る構造、ワールドはデッキは車体に固定されています。
 この辺りも長さの違う印象に拍車を掛けている気がします。

 結果としてこのふたつのモデル、見た目の差異よりも動力や台車の工夫の違いを見ている方がはるかに面白かったと思います。
 色々な意味で意外な比較ではありました。

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