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 「あなたの知らない『レトロ特撮』の素晴らしき世界」

 先日見つけた一冊から。
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 「あなたの知らない『レトロ特撮』の素晴らしき世界」(山本弘著 洋泉社)

 ここ数年来帰省のたびに安価な海外物のSF,モンスター映画のDVDを買っては観買っては観しています。
 特に戦前から終戦にかけての時期の特撮物(専ら映画)を観ていると確かにちゃちな造りの作もあるにはあるのですが一方で「あの時代にこんな凄い(あるいは面白い)作品があったのか!」と驚かされる事があります。

 この本ではそうした大昔の特撮物を中心にそれらの見どころを解説した一冊です。

 どんなものでもそうなのですがあるジャンルとか技術が一般に定着する前の時期(いわゆる勃興期)と言うのは傑作も勿論あるのですが、駄作や珍作もかなり多く見かける時期といえます。
 また、そうした勃興期には「その時には話題をさらったり評価されていたにもかかわらずその後の長い時間の間に忘れ去られたり、消えてしまうものが多い」傾向もあります。
 特撮映画なんかはもろにそうした原則にあてはまるもので、現在のCG全盛期ではかつてのミニチュア特撮や合成なんかは急速に過去のものになろうとしています。

 本書で取り上げられている「レトロ特撮」と呼ばれる作品群はその大半が「ゴジラ以前」の作品であり(そのせいか著作権切れでYOUTUBEなんかで再見できる作品も多い)技術面では稚拙な物や原始的な物もまた多いです。
 しかし一方で画的なセンスの面で現在のCGを凌ぐ作品も意外に多い。そのことを知らしめてくれただけでも私にとっては意義の大きい一冊と言えます。

 1例を挙げるなら1933年製作の「Deluge」(本書では「世界大洪水」と言う仮称で表記)
 いわゆるデザスターSF映画の範疇の作品ですが、ニューヨークの摩天楼街が大地震で崩壊、続いて起きる大津波で壊滅するシーンは「80年前にこんな凄い特撮映画があったのか!」と驚かされるスケール感です。
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 しかも災害で崩壊していくビルの表現は今の眼で見ても驚かされるほどの美しさ、「崩壊美」と言うものを体現したセンスすら身に付けているのです。
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 しかも同時期にはこの種の災害映画が意外に多く製作されており、その背景に「災害映画がラブロマンス映画の一形態として定着していた」と言う意外な事実があった事が本書で記されています。
 これは二重の意味で驚きでしたし、同時に特撮映画と言う限られたジャンルですら予想外の広がりと同時に歴史的な背景と技術の蓄積、センスオブワンダーの進化があった事に畏敬の念すら感じます。
 (しかもまだ知られていない埋もれた佳作がまだ出てくる可能性があるという点で「まだまだ楽しめるのではないか」と言う希望すら与えてくれましたw)

 この他戦争映画での「誰もが本物を使ったと信じ込んでいるリアリティ特撮」クリーチャー映画では怪獣体形に拘らない自由な発想のモンスターの創造、
 更に、時代が新しいですがNHKの「核戦争後の地球」の破壊描写に見る特撮素人集団の創意工夫と実験の積み重ねによる核による東京壊滅描写などアナログでありながら古さを感じない知られざる特撮が目白押しです。

 作品群が旧いだけに安価なDVDに当たる確率も高いでしょうからその意味でガイドブックとしても役立つ事でしょう。

 でもそれよりも、久しぶりで読んで元気になれる一冊に出会った事、それが何より嬉しかった一冊です。

 レトロ特撮、映像面ではすでに旧態化しているかもしれませんがライブの世界ではまだ発展の余地があると思います。
 舞台演出でもそうでしょうしアトラクションやテーマパークの演出でもそうでしょう。
 ですが個人的には模型の世界、それも物語性のある風景をそっくりモケイ化するジオラマやレイアウトのジャンルにこれらのレトロ特撮のノウハウが生きる場面が多くなるのではないかと思っています。

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