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「蛇娘と白髪魔」

 時節はお盆となりましたが、わたしの子供の頃はお盆というと「帰省と墓参りと夏祭りのお化け屋敷と納涼映画劇場」が連想されます。殊に田舎の公民館なんかの上映会の形式をとる「納涼映画大会」は大概がスリラー映画だったりして、必要以上に田舎の怖いイメージを加速していた様な気もします。

 今年はコロナ禍でこの時期の帰省もなし。基本自宅蟄居で過ごしていますが現住地のロケーションは基本田舎ですから、納涼映画の気分に浸るには打ってつけかもしれません。
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 という訳で今回は真夏のスリラー映画ネタから。

 その昔、筋肉少女帯のアルバムの中の一曲に「マタンゴ」というのがあり「すべての人がキノコを食べてキノコ人間になったら、うちのタマミちゃんが目立たなくなってよかった」という意味の物凄い歌詞でインパクトを与えてくれた事があります。

 その「タマミちゃん」というのは楳図かずおの漫画に出てくる蛇少女のことなのですが、タマミちゃんが大活躍する主演作が今回紹介する「蛇娘と白髪魔」(昭和43年・大映)です。

 孤児院で育った南條小百合は生き別れていた両親と再会を果たし、東京郊外の洋館に引き取られる事になった。だが再会したはずの母親は記憶を喪失した無感情な冷たさで彼女を迎え、また、優しそうな父親も小百合の帰宅と同時に毒蛇の研究のためにアフリカへ旅立ってしまう。
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(竹書房「ガメラ画報」143Pより画像引用)
 こうして不気味な洋館に孤立の状態に置かれた小百合。やがて部屋の中を大蜘蛛や蛇が這い回り、不気味な影が窓に映って彼女を脅かす。母親やばあやのしげも彼女の訴えを取り合わない。
 孤立無援の小百合の友達は夜になると夢の中で実体化する人形と孤児院で小百合の兄代わりとなっていた青年だけだった。

 やがて、彼女の前に双子の姉として蛇を思わせる不気味な少女、タマミが登場する。彼女もまたミステリアスな態度で小百合に接するが、ある時小百合は彼女の背中にびっしりと蛇の鱗が生えている姿を目撃してしまう。
 それと時を同じくして白髪の不気味な怪人が屋敷の中に現れてさゆりの命を狙い始めるのだった。
タマミの正体は?小百合の運命は!?



 大雑把にストーリーをかいつまむとこうなります。
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(竹書房「ガメラ画報」142Pより画像引用)
 スリラー漫画の大家として知られる楳図かずおは同時期に「市井の少女が怪奇の事件に巻き込まれる」というシチュエーションの作品を多数描かれているのですが、本作はまさに怪奇少女漫画の集大成のような一本に仕上がっています。
 当時としても珍しいモノクロ画面の現代劇なのですが、モノクロゆえにシルエットや暗闇の演出、描写が巧みでカラー作品にない独特な怖さを際立たせているのが見どころ。

 その画面に乗って不気味な蛇や蜘蛛が這い回り、口が耳まで裂けた蛇娘と化したタマミが蛇を刀に変えて投げつけたり小百合の生き血を吸おうとするなどして脅かすのですが、実はそれらの大半はタマミの不気味さに触発された小百合の生み出した幻想だったりします。
 まあ、空想とはいえあそこまで脚色されたらタマミちゃんもたまったもんではありませんが(汗)

 しかし、実はタマミには小百合の想像以上に暗く屈折した過去があり、そこを白髪魔につけ込まれて小百合殺害の陰謀に加担する事になります(なお、白髪魔はロケットパンチ並に腕を発射したりするなど蛇娘以上に芸達者なのですがこちらは一応「実在のキャラクター」です
 この辺りから本作は怪奇スリラー物から徐々にサイコサスペンスの様相を見せ始まます。

 彼らにいじめ抜かれ、命まで脅かされる小百合のサスペンス、タマミの過去に関わる悲劇などの展開を経て物語はクライマックスで正体を現した白髪魔によって小百合が「洋館の向かいで建設中の高層マンション」に追い詰められるサスペンスフルなラストになだれ込みます。
 そして小百合の優しさを知ったタマミがそこでとった行動は・・・

 この息をもつかせず不幸と恐怖がノンストップに主人公を襲う展開は後にテレビで大人気を博する「大映テレビの少女メロドラマ」そのまんま。
 ある意味本作は「少女に何が起こったか」「乳姉妹」などの大映ドラマのルーツと言える側面も持っていると思います(色々と無理矢理な展開と設定なんかのツッコミどころも含めて)

 という訳で、冒頭の歌詞に呼応した本作の真のテーマは「人間、顔じゃない!心なんだ!!」という処に落ち着くことになります。

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