劇用車から見るアクションドラマ・5「白熱(デッドヒート)」

 劇用車から見るアクションドラマのはなし
 今回は趣向を変えて劇場映画から。

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 1977年の東宝映画「白熱」をとりあげます。
 これは田中光二の小説の映画化作品で原作が文庫で、コミカライズが秋田漫画文庫で出ていた事がありますす。

 本作が公開された当時はスーパーカーブームがたけなわだった時期で、東映でも「サーキットの狼」が映画化されたりテレビでも「グランプリの鷹」「激突!スーパーカークイズ」なんてのまでやっていたりします。
 本作もいわゆる街道レーサー物なのですが、スーパーカー物とは微妙にずれた内容、原作の設定を大きく改変した凄まじいストーリー展開が強い印象を与えます。

 ここで原作をおさらいしてみると
 「ゴールドメタリックのスカイラインGT、通称『ファントム』を追ってターボチューンされたセリカLB(初代)を駆る主人公が行く先々で地元の暴走族と街道レースを繰り返しながらファントムに迫って行く」
 というのが大まかなストーリーで映画でもその骨格は保たれています。

 ですがファントムを追う理由という肝心な点が原作やコミカライズでは「金をかけたマシンに敗れた男の誇りを取り戻すため」という抽象的ながらある世代には共感しやすいものだったのが映画版では「ファントムに殺された友人の仇討」という股旅物みたいな物に変更(セリカの助手席には友人の骨壷が置いてあるというご丁寧さ!)されています。
 このため、クライマックスでは主人公を追うヒロインの情念が前面に出る筈だったのが復讐に燃える男の対決という図式に変わってしまっており、ある意味爽快でありながら原作や田辺節夫のコミカライズを読んでいだ人間は唖然としてしまう落ちになっています。
 (原作を読んでから本作を観るとそういう印象になりますが逆に本作を観てから原作を読むとそれはそれで面白い気もします)

 それはさておき先に述べた様に本作はスーパーカーブームの時期の作品ですが微妙にずれた所が散見されます。
 その最たるものが「登場するクルマが殆ど日本車だけで構成されている」点で、ポルシェやイタ車がメインストリームだったスーパーカー映画の中ではこの点で先ず異色です。
 当時のスーパーカー小僧が見向きもしなかったであろうことは容易に想像できるのですが、私の様な「カースタント目当てのボンクラ野郎」にとっては逆にそこが魅力になるのですから世の中は分かりません(笑)
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 登場するマシンは前述の様に主人公がボルトオンターボ仕様で190馬力(ノーマルの18R-Gは145馬力、但しグロス値ですが)にパワーアップし、当時としてはかなり派手なフルエアロ化された初代セリカLB後期型
 対する「ファントム」はゴールドメタリックのケンメリスカイラインHTです(GT-Rに非ず)登場時にはゴッドファーザーホンもかくやというファンファーレを鳴らす所が御愛嬌(爆)
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 このほか主人公が最初に乗っていたのがチェリーX1R後期型、ファントムに殺される友人の愛車が初代サニークーペ(!)、その他サバンナRX-3(何とドライバーは長門裕之!)、S130フェアレディZなど70年代GTカー好きには涎が出る車種が総登場です
(当時はそうではなかった筈ですが)

 カースタントシーンも意外に充実しているのですが原作では「クルマが速いだけでなくかなりの凄腕で相手を自滅させる謎のレーサー」として描写されているファントムが「狙った相手を必ずつぶす」壊し屋みたいなキャラになってしまった為にスタントの殆どが競り合いでなくクラッシュシーンの連続。
 友人のサニーは追突されてどぶ川に転落、長門博之のRX-3はダンプに突っ込んで大破。
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 潮哲也扮する新潟の暴走族はファントムとの対戦権をかけた主人公との対決チキンランでべレットとホンダ1300クーペ9の正面衝突とやりたい放題(笑)
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 そんな相手と戦う訳ですからラストも原作の様な峠攻めで腕を競う頭文字D的な展開になる訳もなく山中のクロカンコースみたいな場所で「セリカとスカイラインのどつき合い」
 否、前代未聞の「自動車プロレス」を堪能させます(爆)

 クライマックスはセリカによるスカイラインの背負い投げ(としか言いようのない画ヅラです)で止めを刺してハッピーエンド(!?)
 書き忘れましたが主役は江藤潤、(原作では顔を出さない筈の)ファントムは沖雅也、後ヒロインに新人時代の古手川祐子がでています。彼女はこの3年後くらいに西部警察でレギュラー出演しますが本作の頃はどことなく田舎臭さを感じるキャラでした。

 それはさておいて、本作はカースタント好き、あるいは70年代旧車好きで未見の方には「とにかく見ろ」としか言い様のない快作ではあります。
(ビデオは出ていないようですがたまにCSで掛かります)


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