昭和ヒーロー列伝から・「妖術武芸帳」

 今回は昭和ヒーロー列伝ネタです。
DSCN5303.jpg

 今回は「妖術武芸帳(昭和44年)」から
 本作は特撮、ヒーロー物の大御所である東映製作の作品でありながらDVD化もされず、CSでの放映も私の覚えている限り東映チャンネルで一回きり、専門誌でもほとんど話題に上らない作品であります。
 何しろ放映期間が全13回、派手な怪人や怪獣もなし、ヒーローが変身したり超能力を使う訳でもなし。
 とにかく地味で不人気なままひっそりと終わった感じでした。
 武田アワーの枠であの傑作「怪奇大作戦」の後番組であり本作の後番組がかの「柔道一直線」だったと言えば本作だけ影が異様に薄いのが際立って感じられます。

 不人気の理由はいくつか考えられますが個人的に感じるのは上述した「売りの少なさ」に加えて「怪奇大作戦」以上にアダルトタッチが強く子供にとっつきにくかったことが響いた様な気がします。

 ですが、だからと言って本作が駄作だということには決してなりません。
 むしろ個人的には特撮時代劇の中では質的にナンバー1の出来だったと今でも思っています。
DSCN5305.jpg

 ストーリーは徳川幕府の転覆のために清国から送り込まれた妖術師の集団に幼少時から世界を渡り歩いた経験を持つ隠し目付の鬼堂誠之介(演じるは佐々木功)が立ち向かうというものです。
 誠之介の脇を固めるのは相棒役とも言うべき隠し目付の覚善(見るからに叡山の悪僧と言ったいかついルックスがぴったりの藤岡重慶が演じます)誠之介の育ての親にして幕府の謎の権力者でもある香焚老人(演じるは初代水戸黄門の月形龍之介!)等がいます。
 敵の妖術師も原健策を筆頭に今井健二、三島ゆり子など到底30分枠の特撮物とは思えないような豪華キャストでした。

 これだけでも十分渋いのですが

 第1話の冒頭、老中を運ぶ籠が江戸城の正門前で6人の駕籠かきごと突如空中に吸い上げられるシークエンスは中岡俊哉の怪奇実話を思わせる衝撃でした。
 更にその直後警護の侍たちの眼前に「6人の駕籠かきのバラバラ死体が空中から降って来る」という2重の衝撃!

 その他「屏風の画に描かれた船が突然こちらに向かって来て妖術師が画の中の船に飛び込んでそのまま逃走する」(元ネタは「怪談」の「果信居士」でしょう)誠之介の眼前で「突如堀の水が逆流して襲い掛かる」
 と言った描写が毎回続出します。
 この辺の描写に代表される様に怪異の表現の特撮が非常にうまく使われており当時の円谷プロのそれに全く引けを取っていません。
DSCN5307.jpg

 それらの様術は文字通り妖しの技、現実ではなく妖術師の見せる幻覚であるというのも特徴的で立ち回りの中心も誠之介が如何にその幻覚を打ち破るかという部分に掛かってきます。
 これは子供の眼から見るとわかりにくいのですが(事実当時の私がそうでした)今になって観返すと地味ながら非常に良く出来ていたと感心させられます。
 何かの本で「10年早すぎた」と言われたのも納得の話で、もしこれがアイアンキングの後に製作されたカラー版隠密剣士辺りの時期に放映されればもう少し違う結果になった気もします。
DSCN5308.jpg

 ヒーロー列伝で取り上げられたのは
 「怪異妖法師」「怪異風摩屋敷」「怪異人影殺」の3本。このタイトルも渋すぎです。

 ここからは個人的な思い出から
 この作品は私の故郷では昭和48年頃に再放送されましたが「マグマ大使」の後番組で本作の次に「キャプテンウルトラ」だったので当時小学生の私の眼には「とにかく地味」「いつの間にか終わっていた」という印象しかありません。
 ですからこのヒーロー列伝を観てその出来の良さに驚き、ずっと後に東映チャンネルで再放映された折にようやく全話通しで観たという経緯があります。

 全話観ても、作品のトーンやテンションは殆ど変わらず東映らしからぬ(失礼!)幻想的な描写は今でもピカイチと思います。
 何とかもっと評価されても良い佳作、個人的には大傑作だったと思います。



にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道模型 レイアウト製作へ
にほんブログ村
にほんブログ村 映画ブログ SF映画へ
にほんブログ村
にほんブログ村 コレクションブログ ミニカーへ
にほんブログ村

現在参加中です。気に入ったり参考になったらクリックをお願いします。
関連記事
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント