午前3時の暇つぶし本から・18・「探偵小説百科」

 久しぶりに真夜中の暇つぶし本ネタから

 毎度書いている事ですが私が当直をはじめとする真夜中の暇つぶし本として選ぶ本は「ジャンルの俯瞰」ができる様な物が選ばれる事が多いです。
 今回紹介するのもそうした本のひとつです。
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 九鬼紫郎著「探偵小説百科」(金園社刊)
 20年位前に近所の古本屋で200円位で買えた本ですがそれが今では私の宝物のひとつとなっているのですから世の中はわかりません。

 著者は戦前の探偵小説雑誌「ぷろふぃる」の編集を務められ、小説もいくつか書かれた方で終戦直後に戦前の本格探偵小説の大家だった甲賀三郎の全集を刊行した功績で斯界に記憶される人でもあります。
 それだけに日本の探偵小説の黎明期から戦後の社会派推理小説の台頭期までの事情にも明るく、その時期の作家の多くと何らかの面識を持っていた訳でこうした本の著者としてはうってつけの人と思われます。

 何しろ初版が昭和50年ですから取り上げられるのもその時期の作家までと限定されるのですが、日本の探偵-推理小説が最も激しく変転した時期なのでそれらの流れを俯瞰するだけでも結構面白く読めました。
 ここで論評される探偵小説家や推理作家の数は古今東西を通して200人以上。今でも知られる名探偵の生みの親も数多く取り上げられているのですが個人的に興味を持つのは探偵小説の勃興期に名を残しながら今では殆ど、あるいはまったく忘れ去られている作家たちの存在です。

 中にはほんの数編の作品を世に出しただけで退場して言ったり、この当時ですら生死や所在が不明な作家も数多いのですが前述した様に探偵小説史の生き字引とも言うべき著者の手によりその立ち位置や功績が少ないなりとも取り上げられているのは本書の重要な特徴と思います。
 今では探偵・推理小説もそれなりに隆盛を極めていると思いますが、そこに至る過程の中で忘れられながらも間違いなく現在の隆盛に貢献し一助となったであろうそれらの作家たちの変転をも知るにつけ、どんなジャンルであってもこうした陰の功労者たちの存在を忘れるわけにいかない事を痛感します。
 と、同時にどんなジャンルであってもその中にはあらゆる蓄積とそれを生み出す土壌の相互作用によって一種小宇宙とも言える沃野の様な広がりがある事に感動すら覚えます。
 私がジャンルの俯瞰本を好むのは仮想的にせよそうした感動を味わいたいからなのかもしれません。

 後半は探偵小説の定義、分類、タブー、トリック、年表などが纏められていますが、大人向けの入門書としては非常に要領よく纏まっています。
 私個人としてはここも読んでいて楽しい部分です。
 とはいえ、今でも週に2,3本はサスペンスの二時間ドラマが放映され名探偵コナンが20年近くテレビ放映されている今のご時世(笑)で今更そうした定義を堅苦しく考える人もあまりいない気もします。


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